ビジネスの場で英語を話すとき、皆さんは効果的なコミュニケーションが取れているでしょうか?英語を話すことに必死になって、プロジェクトを推し進めて利益をうむためのビジネスの目的に沿った英会話ができていない人もいるかもしれません。
日本人のメンタリティは、欧米のスタンダートとはだいぶ異なっています。それゆえに、ビジネスで英会話をするのであれば、そもそもの態度を変えて英語コミュニケーションをはからなければ効果的な仕事はできません。この記事では、ぜひ意識したいビジネス英語の会話術についてお話ししていきます。
成果を出すビジネス英会話術
Assertiveという態度
「Assertive」という英単語があります。辞書を引くと、「断定的な」「独断的な」あるいは「自己主張の強い」などと出てきたのですが、少しニュアンスは違います。辞書の定義だとネガティブな表現のように聞こえるのですが、この言葉は非常にコミュニケーションが上手な人の態度を示す形容詞だと言えます。
以前ある心理学者に、日本人のメンタリティと私自身のコミュニケーションの悩みについて話をしたところ、「You have to learn how to be assertive!」と言われたのです。心理療法的に、この「Assertive」という概念は、「Passive」と「Aggressive」中間のちょうど良い塩梅を示している言葉です。
パッシブな態度とは
まず「Passive」というのはどんな人かというと、服従的で、不平はあるけれど、あまり言葉を発せず、当たり障りのないことしか言わない、人を立てて自分を下げる人です。「どっちでもいいです。」「それでいいです。」「はい、そうですね。」といった言葉を発します。その心には、「あなたは正しいけど、私は間違っている」あるいは「あなたはできるけど、私はできない人」といった信念があります。
アグレッシブな態度とは
一方「Aggressive」のほうはどうかというと、「Passive」の逆です。皮肉を言ったり、きつい言葉を発したりし、いつも自分が正しく勝っていると思っている、全てを知っていて、人の話を遮り、批判的で偉そうで他の人を尊重しない人です。アグレッシブな人は「もし君が気に入らなくても、これをやるんだ」と推し進めていきます。その心には、「私は正しが、あなたは間違っている」あるいは「私はできる人がだが、あなたはできない人」という信念があります。
あなたはスペクトラムのどの辺り?
極端にどちらかというわけではないかもしれませんが、スペクトラムのどちらよりに自分が当てはまるかということについては考えてみることができますね。ステレオタイプ的な言い方かもしれませんが、日本人には文化的な謙虚さの重要性も加わってパッシブの方が多いような気がします。
ビジネス会話でとるべき態度
批判を受けたときの態度も、パッシブの人とアグレッシブの人で異なります。まず、パッシブな人は「すみません。あなたが言っていることが正しいです。全ての私のせいです。私は愚かで役立たない者でです」と反応します。一方、アグレッシブな人は「何言ってるんだ?!よくもそんなことが言えるな」と反応します。
パッシブアグレッシブな人の反応
それからもう一つ別のタイプの人がいます。「Passive-aggressive」の人です。このタイプは「すみません。」と言葉では謝罪しますが、心の中では「私のせいじゃないし!見てろよ」と思っています。
私はパッシブとパッシブ・アグレッシプの間くらいだなあと思うことがよくあります・笑。
アサーティブな人の反応
ではどういう反応が健全な「Assertive」な反応かというと、それは3つの場合に分けて考えることができます。
まずは、他人からの批判や指摘が正しい場合です。「そうですね、確かにそういう行動をしていることもあるかもしれません。もしあなたを怒らせるようなことをしていたのならごめんなさい。それがどのようにあなたにとって不都合かもう少し教えてください。どうやってやったらもっと建設的でしょうか?」
続いて、批判や指摘が正しくない場合です。「私はそうは思いません。あなたがそんな風に言うのには心外です。もう少しどういう意味なのか説明してもらえませんか?」
最後に、批判や指摘が一部正しい場合です。「そのことに関してうまくやれなかったことは認めます。確かにミスを犯しました。でも私についてあなたが言った言葉には合意できません。どういう意味なのか説明してください。」
批判は行動に対するもの
私たちは批判を受けると「自分」という存在に対して批判を受けたと思いがちですが、大抵の場合批判は「自分の行動」に対してなされるものです。自分の存在が否定されたと思うと、人は必死に自己弁護に走ってしまうと思いますが、うまく行動への批判を受け止められれば、今後建設的に行動することができますよね。
日本人の悪い癖
コミュニケーション力を磨く時
イギリスに暮らしていると、自分も含めて日本人というのはコミュニケーションが下手な国民だなあと思います。イギリス人は話をすることでいろいろなことを解決しようとしますが、日本人は行間を読み取ることで問題を解決しようとします。でも言葉として発せられなかった思考は、正しく相手に伝わることがないと思います。きちんと説明していないことを相手に理解しろというのは傲慢だと思います。ですから、相手にわかってもらいたいことは、きちんと説明するようにしたいですね。
ノーと言えない日本人
それから、先日「ノーと言えない日本人」という記事をあげましたが(ご覧になっていない方のためにこの下にリンクを貼っておきますね)、日本人は「ノー」というが下手な国民でもあると思います。これは私自身にも当てはまるのですが、うまくノーが言えないと、罪悪感のスパイラルの中にはまっていってしまう可能性があります。
罪悪感のスパイラル
例えば、上司やクライアントがあなたに何かをして欲しいとお願いしてきたとします。あたなはとても忙しくて、これ以上仕事を抱える状況ができないです。でも、こんな思考が頭を巡ります。
「もしノーと言ったら、相手に悪いし、仕事のできない人間だと思われる・・・」
↓
この罪悪感を避けるために、あなたはイエスと言ってしまいます。
↓
すると仕事量が増え、疲れ切って、怒りを感じます。
こんな経験、みなさんもあるのではないでしょうか?疲れ切って怒りを感じるときにいいことは何も怒りません。ですから、この状況を避けるためには、頑張って「ノー」という必要があります!
アサーティブな会話術
上手な仕事の断り方
相手に悪いという罪悪感や、できない人間だと思われるという自己批判なしにノーといううまい表現の例には次のようなものがあります。
「I’m sorry but I really can’t take on anything else at the moment. 」
すみません、でも今は忙しいのでこれ以上お受けできません。
「I’m quite busy right now. Perhaps another time.」
今かなり忙しいです。別の機会にお願いします。
「I’d like to help you out, but I just don’t feel up to it at the moment. 」
お手伝いしたいのですが、ちょっと今できそうにありません。
上手なセールスの断り方
押し売りにあったときに使えるのが、こんな表現。
「I don’t need a new item. I’m happy with what I have got. Thank you. 」
新しい屋根は必要ないです。今あるので満足しています。
上手なデートの断り方
デートに誘われて断りたい時は、
「Thank you for asking. You are a nice person but I don’t want to go out with you. 」
誘ってくれてありがとう。あなたはとっても素敵な人だけど、デートする気はないです。
もししつこく相手が強要してくるようであれば、同じことを必要なだけ繰り返せばいいそうです。この「ノー」を譲ってはいけません!譲歩して幸せになることはないのです!!
罪悪感が残るときはこうする
もし、それでも罪悪感や自己批判が残るようであれば、自分に次のことを言い聞かせてください。
・なぜできないか、きちんと説明した。
・それは私の責任ではない
・もし合意したら、不幸になるだけ
・これが自分にとって一番良い方法
・彼らがどう思うかは私の知ったこっちゃない
このテクニックを使って、私も仕事上言いにくい相手になんとかノーということができた経験があります。直後は胸のあたりに不快な感覚が残ったのですが、のちに心理学者にその話をしたら、「Well done!!!」と褒められました。こういう思考の習慣を変えていくと、だんだんノーと言うのも楽になり、「Assertive」な言動ができるようになるそうです。
欲しいものを手に入れ方
それから、欲しい物を手に入れるためのコミュニケーションについてです。私たちは何かが欲しい時、ほのめかしやジェスチャーなどを使って相手に自分の要求を知ってもらおうとします。でも、そのために自分が発した言葉から、相手が同じ物を想像してくれるとは限りません。私たちが欲しい物を相手に本当に理解してもらう唯一の方法は、はっきりと欲しい物を言うということです。
「I’d like you to give me a hug.」
ハグしてほしいです。
「I want to be your friend but not your girlfriend.」
友達にはなりたいけど、彼女になる気はありません。
「I want to talk to someone.」
誰かと話がしたいです。
「I’d like to leave now.」
今すぐ帰りたいです。
もちろん、欲しいと言ったものが全て手に入るとは限りませんが、少なくとも欲しい物を名言することで、相手にその要求を理解してもらう一番良い可能性にかけたことにはなるのです。
コミュニケーションって難しいなあと思いながらも、腑に落ちるところが多かったおでこの「Assertive」という態度についてお話させていただきました。みなさんも、自分がパッシブ、あるいはアグレッシブだと思うことがあれば、今一度言動を見直してみてください。