「文章を書くのが苦手」「文章を書くのが遅い」という人のために、文章を速く簡単に書くコツについてお話したいと思います。仕事のプレゼン原稿執筆から、大学の論文、ブログ記事の作成まで、どんな文章にも適応することのできるテクニックです。この方法を使うと最終的に書き上がる文章は必ず論理的なものになっていきます。
プレゼン原稿の構成の仕方については以下の記事で詳しく書いていますのでそちらをご参照ください。
英語プレゼンの構成方法と使える表現【絶対失敗しないフォーマット】
文章を速く簡単に書くコツ
- 一番伝えたいこと、キーメッセージを明らかにする
- キーメッセージを支える論点をブレインストーミングして書き出す
- その論理的関係や優先順位を考慮して書き出した論点に順番をつける
- それぞれの要素に説明を加えて文章にしていく
一番伝えたいこと、キーメッセージを明らかにする
まず文章を書く目的を明確にします。どんなメッセージを伝えたいのか、どんなテーマについて語りたいのか、どんなものについて説明したいのか、どんな行動を呼びかけたいのか、など今から書く文章の中核となるキーメッセージを決めます。それが文章の大きな柱になります。中心となるコンセプトがないと始まらないので、それを一番最初に考えてみてください。大体のアイディアが浮かんだら、それをまず何語かのフレーズ、あるいは一文で表してみましょう。幾つか異なる言い回しを考えてみて、一番語呂がいい物を、白いA4の紙の真ん中に書き出します。
キーメッセージを支える論点をブレインストーミングして書き出す
それができたら、今度はその中核となるメッセージを伝える上で、根拠になるものをその周りに書き出していきます。根拠として扱えるものには以下のようなものがあります。
- 自分や他人の経験、体験談
- データや統計
- 実践のための過程や工程
- 引用
ブレインストーミングで書き出してみる論点は最低でも5〜10必要です。文章にしなくていいので、箇条書きで思いつく概念を短い言葉で書いていきましょう。2000字程度の短い文章を書くのであれば、その中でもっとも議論に強い根拠を3つ選びます。3つというのは読み手が一番記憶しやすい要素の数だからです。もう少し長い文章を書くのであれば、5〜10の論点を使って書いていくことができます。
その論理的関係や優先順位を考慮して書き出した論点に順番をつける
ブレインストーミングでは、とりあえず思いつくままに論拠を書き出して行きましたが、今度はそれぞれの要素の関連性や効果的な順番というものについて考えていきます。いらいないものや、まとめられるものはここでまとめてもいいでしょう。優先順位や論理性、時間軸などを頼りに整理ながら、それぞれの論拠に順番をつけていきます。それができたらA4の紙を裏返して、一番上にキーメッセージ、その下に今つけた順番に従って使うことにしたそれぞれの要素を書いていきます。これで書く文章の骨組みがわかるマップが出来上がりました。
本などのもっと長い文章を書く場合は、論拠を5〜10などにし、その論拠のそれぞれをキーとなるテーマとして扱いながら、それを支える論拠をさらに書き出していくという、階層構造を作っていきます。そうすることで文章全体が明確な構造を持ったものになるからです。最終的には以下のような階層構造を持つ文章にしていくことになります。
キーメッセージ
・テーマ1
・根拠1
・根拠2
・根拠3
・テーマ2
・根拠1
・根拠2
・根拠3
・テーマ3
・根拠1
・根拠2
・根拠3
それぞれの要素に説明を加えて文章にしていく
ここまでの作業で骨が組み上がったので、今度はそこに肉付けをしていきます。人はどんなテーマのものについてでも、40秒間は語ることのできると言われています。どんなに小さな要素でも、最低40秒分は書けるということです。日本語の適切なスピードのスピーチは1分間に300文字程度なので、40秒だと200文字くらいになります。どんなテーマでも原稿用紙半分はかけるということになります。
その要素が5つあったら、あっという間に1000文字は書けてしまいます。10個あったら2000文字、200文字は最低文字数なので、もう少し頭を柔らかくすればもう少し書けます。それに冒頭と結論をつければそれなりの量になります。もし文章として書けないのであれば、友達にその項目について説明するとしたらなんと言うかを考えてスマートフォンなどで録音してみてください。それを書き起こすという方法をとることもできます。
文章を速く簡単に書くテクニックの実践
大学院の論文
どんな長さの文章を書くにしても、小さなセクションの積み重ねと考えるところがポイントです。私が大学院の修士論文を英語で書いたときも、同じ手法を使いました。論文指導の中間報告で指導教官の研究室を尋ねたときに用意して行ったのはA4の紙1枚でした。私の中ではその紙に書かれた図の中にすでに論文の骨組みができていました。ですから指導教官に何を聞かれても、そのマップに沿って肉付けをすればよかったのです。
1冊の本
これは1冊の本を書く場合でも同じです。私は数年前に『義足のアスリート』というパラ陸上選手のノンフィクション本を執筆させていただきました。その時も同じテクニックを使いました。つまり本を通して伝えたい一番の核となるテーマを決め、次にそれを支える骨組み、つまり本に入れたい要素を考え、続いてそれを順序立てていきました。それからその骨組みに肉付けするように文章を書いていったのです。これは巷で有名なマインドマップよりもずっと簡単です。
雑誌の記事
今雑誌の連載も持っていますが、連載原稿を書くときも同じ方法を使っています。だいたいあたりをつけて取材し、取材項目を骨組みとして組み立てていきます。こうして構成したマップがあれば、ちょっとしたやる気で2000文字はあっという間にかけてしまいます。本はもう少し忍耐と、モチベーションを要しますが、それも2000文字の積み重ねです。1冊の本はだいたい10万文字くらい必要です。2000で割ると50ですから、勢いで毎日書けば50日で1冊の本の分量になります。
この方法を使えば箇条書きで書くくらいの軽い気持ちで文章がかけてしまいます。ぜひみなさんもこの方法を是非使ってみてください。