ビジネスや社交の場で、「もっと初対面の外国人とスムーズに打ち解けられたら」「英語での交渉や会話を自分の思い通りに進められたら」と思ったことはありませんか?
実は、心理学と脳科学を利用して、言語の壁を越えてコミュニケーションを劇的に円滑にする具体的な方法が存在します。
私はこれまで、日英バイリンガルMCとして国際イベントの司会をしたり、海外著名人やトップアスリートへにインタビューをしたりと、失敗できない緊張感のある英語コミュニケーションの現場を数多く経験し、世界トップクラスの人たちのマインドを科学的な視点から分析してきました。
今回は、私の実体験をもとに、ビジネスでも日常でも一生使える「グローバル社会で人の心を掴み、信頼関係を築くための英語コミュニケーション術」を、脳科学的な裏付けを交えてまとめてみたいと思います。
人の心を掴む驚異のネットワーキング能力を持つ青年
ロンドンで行われたとあるセミナーに参加したときのことです。20代半ばのある男性が、もの凄く上手にネットワーキングをしているのを目撃しました。
彼は、初対面の人々とも軽やかに交流し、短時間で会場のほぼ全員と信頼関係を築く優れたコミュニケーターでした。後で話を聞くと、その能力は「訓練の賜物」だと言います。人見知りで自信がなかった私にとって、この出会いは「コミュニケーションは才能ではなく技術」だと気づく大きな転換点となりました。
彼が学んだという、元FBIエージェントによる名著『The Like Switch(邦題:心を支配する方法)』に基づき、その秘密を解説します。
FBIが使う「心を支配する」脳科学的コミュニケーションアプローチ
スパイに心を開かせるFBIの技術は、言語や文化の壁を越える英語コミュニケーションにおいても、脳科学的に見て非常に理にかなっています。私の専門である認知科学の視点を加え、具体的に解説してみたいと思います。
人の心を掴む英語コミュニケーション要点のまとめ
この名著の中で語られている、コミュニケーションの要点は以下の6つです。
- フレンドシップ・フォーミュラ
- 非言語的なサイン
- 相手をいい気分にさせる
- 吸引の法則
- 相手の話を聞く
- 目を見て、動きを真似る
フレンドシップ・フォーミュラ(友人の公式)
まず、人に好かれるためにはどうしたらいいのかという問いに、みなさんはどう答えますか?素直に、正直に、自分らしく人に接すること、などと答えるかもしれませんね。でも、何もしないで自分らしくいれば、誰もがすぐに好意を寄せて寄ってきてくれるかというとそういうわけではありません。
そこで著者は、性格や雰囲気とかに関わらず、人から好意を寄せられるためのテクニックを教えてくれます。これはFBIのエージェントだった著者がスパイに心を開いてもらうために使ったテクニックでもあります。それが本の中で、フレンドシップフォーミュラと呼ばれているもので、信頼関係の基盤は、以下の4つの要素で構成されています。
- Intensity(強度):心理的な結びつき
- Frequency(頻度):顔を合わせる回数
- Proximity(近接):物理的な距離
- Duration(持続時間):一緒にいる時間
まず最初のステップは、友達になりたい人の近くに、頻繁に姿を現すことだそうです。同じ環境を共有する人通しはお互いに惹きつけられる可能性が高くなるのだそうです。話しかけなくても、同じ場所、近距離にいるだけでいいのだそうです。できるだけ頻繁に友達になりたい人の周りにいるようにしてみてください。
それから、過ごす時間が長いほど相手は好意を抱くようになるそうです。さらに非言語的な合図を送ることで相手との接触の強度を高めることができるそうです。例えば、目を合わせてみたり、頷いてみたりすると、相手は興味を持つようになるそうです。そうやって、実際に言葉をかわす以前に関係を築くことができるというんですね。
脳科学の視点から:
これは、脳の「ミラーニューロン(鏡のような働きをする神経細胞)」を活性化し、安心感をもたらすホルモン「オキシトシン」の分泌を促すテクニックです。相手の視界に自然に入ることで、脳が「安全な相手」と認識し、言葉を交わす前から信頼関係の土台が作られます。
ちなみにこれは、別のマーケティングのセミナーで聞いたこととも一致しているなと思いました。メルマガは、何度も送って受信者に存在を認識されると、それだけで相手に親近感が沸くという心理学を利用しているのだそうです。
非言語的なサイン
本の中では、いくつかの言語以外相手に異なる印象を与える身体の動きについて説明されています。特に英語圏では、この非言語シグナルが会話の成否を大きく左右します。
眉毛を少し上下させる(アイブロー・フラッシュ)動作で「敵ではない」ことを伝えます。アイブロー・フラッシュはかなり遠くからでも認識される動きで、これを確認した相手はまずあなたに対する警戒心を解きます。
それから頭を少し傾けるという動きも相手に対して脅威ではないことを示すジェスチャーだそうです。頭を傾けると、頚動脈が露出されるのですが、私たちは無害な相手にしか動脈を晒すことはありません。逆に脅迫されたと感じたときに、肩をすくめて首を沈めるのは頚動脈を守るためだそうです。
よって、頭を少し傾けて話している人は、頭を直立させている人に比べて、よりフレンドリーで正直な人と認識されるそうです。
そしてもう一つ強力な非言語的シグナルとされているのが、素直な笑顔です。笑顔はより親しみやすく、魅力的で、友好的であるという印象を与えます。また笑顔を作るとエンドルフィンが放出され、私たちに幸福感を与えます。しかも笑っている相手に笑顔を返さないのは難しいことなんだそうです。
脳科学の視点から:
笑顔は相手の脳に報酬系を刺激し、快楽物質である「ドーパミン」を放出させます。物理的に相手を安心させ、親しみを感じさせることができます。
相手をいい気分にさせる(感情の返報性)
著者は、相手をいい気分にするというテクニックを使って、なんども飛行機でビジネスクラスにアップグレードしてもらったそうです。私はエコノミークラスでのフライトが本当に大嫌いなので、これを聞いて本当に実践してみようという気になりました・笑。
著者は空港のカウンターの接客係が前の客の苦情対応しているのを目撃します。彼は自分の番が来た時、相手に同情を示す言葉をかけます。そしてしばらく接客係の愚痴を聞いてあげます。そうすることで、相手がいい気分になり、自分の欲しいものを手に入れるという結果に至ります。
脳科学の視点から:
人は、自分をいい気分にさせてくれる人の近くにいたいと思う生き物ですよね。普通嫌な気分にさせるような人の近くにはいようと思いません。相手の話を丁寧に聞き、ポジティブな感情を与えることで、相手も好意を返したいと感じる「返報性の原理」が働きます。
人というのは相手に提供されたポジティブな感情を返したいと思うものなのだそうです。なんだかいいですね。実際、空港で接客係を怒鳴りつけるクライアントさんとご一緒したこともありますが、何も出てきませんでした。どうせ得るものがないなら、みんないい気分でいられるようなやり方を試してみたほうがいいように思います。
吸引の法則(類似性と好奇心)
誰かと友達になりたいときや、仲良くなりたいとき、幾つか使える法則があります。その一つは「類似の法則」です。人は同じ考え方や同じ好みを持っている相手と友達になる傾向があります。良い関係を築きたい相手との共通点を探すことで、この法則を使うことができます。
会話からでも構いませんし、身につけているものなどから共通点を見つけることもできます。極端に言えば、本当の共通点でなかったとしても、相手の興味が明確な場合、私もそれが好き!ということで、親密な関係を持ったと思わせることもできるわけです。
それから共感を示す言葉で会話を始めることもできます。楽しそうにバーで飲んでいる女性に声をかける時は、「So, you are having a good day?」などと言うと、相手はいい1日である理由を説明してくれたりします。
次の法則は「好奇心の法則」です。そもそも興味がない相手に好意を抱かないですよね。ここで使えるテクニックとしては、相手に興味を持っていることを示すと、相手は自然と私たちに興味を持つようになるのだそうです。
また誰かの興味を引くようなことをすることもできます。例えばカフェでメニューから変わったものを注文してみるとか、変わったタイトルの本を公の場で読んでみるとか。そういうことをすると興味を持って会話の糸口になることがあります。
また、人に何かをしてもらうと、何かを返さなければと思うのだそうです。小さなことでも構わないので、何かしてあげると相手もその好意に報いようとして良い関係を築くことができるというわけです。
さらに、誰かに何かをお願いするというのも好意を持ってもらうテクニックだそうです。誰かに何かをしてあげたと思うと、相手はいい気分になるからだそうです。例えばトイレに行ってくる間、ちょっと席をとっていてもらえる?とか、コートを持っていてくれる?とか小さなことをお願いしてみるといいそうです。
脳科学の視点から:
共通点(類似性)を見つけ、小さな頼み事をする(ベンジャミン・フランクリン効果)ことで、相手の関心と好意を引き付けます。
相手の話を徹底的に聞く(アクティブ・リスニング)
自分の話を中途半端に聞いている人や、他のことに気を逸らされている相手に話をするとき、いい気はしませんよね。ですから、人の話を聞いている時、アイコンタクトを維持し、ちゃんと聞いているということをアピールする必要があります。
それから、誰かと話している時は相手の非言語的シグナルやボディランゲージを観察してみる必要があります。後ろにもたれかかったり、腕を組んだり、上下の唇を結んだりしているのは、会話がうまく運んでいないことを示すサインだそうです。相手が興味を失っている、あるいは自分が喋りすぎているなどの理由が考えられます。そういうときは、相手の興味に合わせて会話を運ぶと解消できます。
それから、相手の経験していることや言っていることに対して共感するということも重要です。例えば、カフェで忙しそうに働いているウェイターに、「Wow, you’re busy. I don’t know how you do it!」と声をかけると、好意を抱かれるのだそうです。確かに、自分のことをわかってくれていると思う相手には、心を開きますよね。
脳科学の視点から:
ボディランゲージを観察し、相手の関心事に合わせて話題をシフトするなど、共感を示すことで相手の心の壁を崩します。
目を見て、動きを真似る(ミラーリング)
いくつかの方法で、相手とどれくらい関係が築けているかのテストをすることができるそうです。例えば目をじっとみて、目を逸らされるようであれば、それほど親密な関係がまだ築けていないということになります。
体への触れ方でもチェックすることができます。普通は肩の少し下あたりに触れる程度ですよね。それ以外の場所に触れている場合はより密接な関係を意味します。座っている時は、前腕、あるいは膝に触れると信頼関係が確率されているかどうかをチェックすることができます。
これは自分と相手の関係だけではなく、誰か2人の人の関係を客観的に観察している場合にも使えます。心理的につながりのある人は、会話の間にお互いのボディランゲージを真似することが多いので、それを指標にすることもできます。
もし自分がやっている動きを相手が真似している場合は、その相手との関係が確立されていることになります。良い関係を築きたい相手のボディランゲージを真似るというのも使えるテクニックです。
脳科学の視点から:
相手の動作を無意識に真似ることで、心理的なつながりを深める技術です。これも「ミラーニューロン」を応用した、強力な親密化のテクニックです。
世界のトップ層が実践する「2つの脳科学アプローチ」
バイリンガルMCとして数々のグローバルな現場を経験する中で、私は元FBIのテクニックに加えて、以下の「2つの脳科学の仕組み」を意識することが英語コミュニケーションの成功に不可欠だと確信しています。
アミグダラ・ハイジャック(扁桃体乗っ取り)の阻止
「英語を話そうとすると頭が真っ白になる」というのは、あなたの実力不足ではありません。脳の危険察知センサーである「扁桃体(アミグダラ)」が過剰に反応し、理性を司る前頭葉の働きをシャットダウンしてしまうアミグダラ・ハイジャックと呼ばれる現象が起こっているからです。
世界のプロフェッショナルは、深呼吸や非言語シグナルを意図的に使い、自分の脳を「安心モード」にコントロールする技術を使って、心理的安全性を訓練しています。英語を話す前に緊張で頭が真っ白になりそうになったら、脳の暴走を止める次の3つを試してください。
- 4・7・8呼吸法:4秒吸って、7秒止め、8秒かけて細く長く吐き出す。
- ラベリング:「私は今、英語に緊張している」と言語化して前頭葉を強制起動させる。
- 5-4-3-2-1法:目に見えるもの、触れているもの、聞こえる音、香り、味に意識を集中させて脳のバグを解く。
SCARF(スカーフ)モデルで相手を味方に
脳科学者デビッド・ロック氏が提唱した、人間の脳が社会生活で「報酬(快感)」か「脅威(不快)」を判定する5つの脳科学的フィルターです。
- Status(地位・重要性):相手の存在や意見を尊重する
- Certainty(確実性):クリアで分かりやすい英語で話す
- Autonomy(自律性):相手に選択肢や主導権を与える
- Relatedness(関係性):敵ではなく「味方」だと認識させる
- Fairness(公平性):お互いにとって誠実でフェアな取引をする
この5を英語のコミュニケーションや交渉に組み込むことで、相手の脳はあなたに対して強烈な報酬のドーパミンを感じ、ビジネスが圧倒的にスムーズに進むようになります。
英語コミュニケーションは才能ではなく技術
私がロンドンで出会った彼のように、これらのテクニックはすべて脳の仕組みに基づいた「訓練」で習得できます。特に英語でのビジネスシーンにおいては、この心理的・脳科学的アプローチを取り入れることで、ネイティブ並みの英語力を持たずとも、英語力以上の成果に直結します。
あなたも世界で通用する英語コミュニケーターになりませんか?
私のコースでは、バイリンガルMCとしての現場経験と認知科学的な知見を掛け合わせ、「世界のトップ層の心を動かす、実践的な英語コミュニケーション&スピーキング術」を指導しています。
- 初対面の海外クライアントと瞬時に信頼を築く
- 英語の交渉でアミグダラ・ハイジャックを起こさず、相手の心を動かす
- 脳の仕組みを理解し、人見知りを克服して自信を持って英語で発信する
あなたも訓練で、劇的な英語コミュニケーションの変化を体験しませんか?人の心を掴む英語コミュニケーションを学びたい方は、ぜひコースページを覗いてみてください。




