カタカナに頼っていると正しい英語が話せないと思っている人も多いと思いますが、カタカナもうまく利用すると英語の発音を習得するのに便利なツールになります。
カタカナでを使って表記された英語の発音は、英語学習の初期において特に役立ちます。私たちはみんな母国語の中にある音でしか、外国語の音を捉えることが出来ないため、ある程度の年齢になってから英語を勉強するのであれば、カタカナ表記なしに英語を発音することはできないからです。
もちろん、より正確な英語の発音を学びたいという人には、発音記号など様々な発音ルールを使った発音矯正コースを開講していますので、ぜひそちらをご覧ください。
カタカナ英語で英語と発音するというアプローチにおいて問題なのは、多くのカタカナ英語が英語の実際の発音を反映しないでカタカナ表記にされてしまっていることです。つまり、カタカナを使って正しい英語発音を習得する方法とは、カタカナで正しい英語発音を表記することです。
それぞれの英語の単語を元の英語の音に近いカタカナ表記にしていけば、カタカナ英語でも英語の発音をネイティブに近づけることは可能というわけです。
カタカナで正しい英語発音を表記する
Londonの発音はロンドンではない!
私たち日本人にとって英語の発音が難しいと感じる理由の一つは、単語のスペルとその音が一致しないからというところにあります。例えば「London」という単語を例にとってみましょう。 カタカナで書く場合は50音の中から4つの文字に対応させて、
ロンドン
となりますね。これは「London」というローマ字の綴りから予想される読み方です。
Lo-n-do-n
と区切ったそれぞれを、日本語の50音にある音と1対1の関係で結ぶと「ロンドン」になるわけです。ところが、英語の発音の場合そう単純にはいきません。「London」を発音記号を使って書いてみると、
lʌn-dən
となります。「London」という単語の綴り上では、「o」が2回出ているのですが、強勢のくる最初の「o」と、強勢の置かれない2つ目の「o」は違う音になるのです。 さらに、日本語の「お」の音に一番近いの英語の音を発音記号で書くと「ɒ」で表すことができますが、「London」の発音の発音記号を見ると、この音は出てきていません。つまりこの発音をカタカナで書くと「ロンドン」ではないわけです。
発音記号の「ʌ」の音はむしろ日本語の「ア」に近い音です。また、「ə」の音は「ア」と「ウ」の間のリラックスした口の形で発音される音ですから、「London」をあえてカタカナで書くのであれば、
ランデゥン
のほうが近い表記になります。 日本語の音には10つの子音と、5つの母音があります。それに対して英語には、19の母音と26の子音があります。よってもちろんすべてを対応させられるわけではないのですが、一般に使われているよりもう少し実際の発音に近い表記にしてみることはできます。でも正しい発音を身につける上でもっと効果的なのは発音記号をしっかりと習得することであるのは言うまでもありません。
母音の発音記号とカタカナの対応については以下の記事をご参照ください。
英語の発音記号の読み方【母音編】
Courtの発音はコートでも、Coatの発音はコートではない
カタカナで書くと同じ発音だと思っている単語が、実は英語では同じでないこともよくあります。さらに英単語の綴りをみてもそこから判断することがなかなか難しいというのが腹立たしいところですね。例えば、coat(衣服のコート) と court(テニスコートのコート)という2つの単語があります。日本語でコートというときはどちらも「コート」と書いますね。では、この2つの単語の発音は同じでしょうか?
実は、違います。では、違いを説明することはできますか?そしてそれぞれを正確に発音仕分けることができますか?日本語のカタカナだと同じ単語を英語として発音するときは、他の単語以上に注意が必要です。それでは2つの単語を発音記号を使って書いてみましょう。
衣服のコート(coat)は
kəʊt
テニスコート(court)は
kɔ:t
となります。このように発音記号で書かれていると、2つが違うことがはっきりわかると思います。「əʊ」の発音はあえてカタカナで書くなら、「オー」ではなく、「オゥ(あるいはアゥ)」です。一方「ɔ:」の発音は「オー」です。よって、衣服のコートの発音は「コゥト」、テニスコートのコートは「コート」と表すことができます。
幼少期に英語に晒されずに日本で生まれ育った人は、このような違いを日常会話の中でピックアップするのは難しいと思います。私も実際そうです。10年以上イギリスで暮らしていますが、純粋に音から19の母音と25の子音を聞き分けられるかと言われると、答えはノーです。
私自身も発音記号を使いながら英語の発音にまつわる論理やルールを学び、違いを意識して発音し、またネイティブの発音の違いに耳を傾けることで発音を向上させてきました。ぜひ発音記号を利用した英語の発音の勉強にも注目してみてくださいね。