コンテンツへスキップ

統計にはRとPythonどっちを使うべき?

    統計にはRとPythonどっち

    統計分析によく使われるプログラミング言語には、「R」と「Python」があります。でもこの2つの言語はどのように違っていて、統計分析をやる際にはどちらを使うのがよいのでしょうか?

    筆者はイギリスの博士課程の大学院生で、データ分析に統計学を必要としている者です。大学の博士課程の授業ではRのトレーニングがあり、指導教官もRを勧めていますが、一緒に研究をしている共同研究者はPythonを使っています。

    この記事では、RとPythonを比較しながらその違いについてまとめてみたいと思います。

    統計にはRとPythonどっちを使うべき?

    RもPythonも統計分析によく使われる人気のあるプログラミング言語であることは間違いありません。どっちを使うべきかということになると、さまざまな要因について検討する必要がありそうです。

    構文と構造

    統計分析とグラフィック表現を目的として開発されたRには、統計操作用をするために設計された構文があります。統計モデリングと視覚化に焦点を当てた dplyr、ggplot2、tidyr などの多数のパッケージは、データ分析と可視化に非常に便利です。

    一方、Pythonは可読性と多用途性で知られていて、より汎用的な構文を備えています。より広い用途に使われるPythonでは、Pandas、NumPy、SciPy などのライブラリを使って、データ操作、統計分析、機械学習などを行うことになります。

    タスクの複雑さ

    複雑な統計分析やモデリングを行う場合、歴史的にはRが好まれてきました。これはRは統計に特化した言語であることから、統計ように特別に設計された広範なライブラリーとパッケージがあるためです。

    それに対して、統計以外の他の用途にも幅広く使われるのがPythonというわけですが、近年はPandas、NumPy、SciPy などのPythonライブラリもまた統計機能において大幅な進歩を遂げており、Rに対する競争力が高まっていると言われています。

    コミュニティとサポート

    どちらのプログラミング言語を使うかを考える上で考慮すべき点に、コミュニティのサイズやサポート体制があります。わからないことがあった場合にネット上で検索して答えが得られる方がよいですよね。

    前述の通り、Rには統計においての長年の歴史があるため、その結果として豊富なパッケージコレクションと統計コミュニティ内での強力なサポートを得ることができます。一方、Python はその汎用性の高さゆえに幅広いユーザーベースを持っていますが、統計を超えて業界全体で広く使用されているため、統計に特化した回答に辿りつきにくい点は考慮すべきかもしれません。

    他のシステムとの統合のしやすさ

    Pythonの強みは、その汎用性と他のツールやシステムとの統合の容易さにあります。エンドツーエンドのデータパイプラインの構築や統計分析を大規模なアプリケーションに統合するのに適しています。それに対してRはデータ分析特化型の言語ですから、統計学やデータ分析単独で使うのにより適しているということになります。

    そう考えると一般にRは学術界や研究の分析において好まれ、Pythonは産業界で好まれると言われるのも理にかなっているように思います。統計モデリング専用のパッケージが豊富に揃っていることから、統計学者の間ではRの人気が高いようですが、近年上記のような理由から、Pythonの人気も高まっています。

    利用環境の準備のしやすさ

    筆者の個人的な見解として、利用環境の準備はRの方が楽という気がします。RStudioを利用することで、ソフトウェアとしても直感的な使い方をすることができるからです。Pythonの方が利用環境を整えるまでの手順が多く、直感的でない部分があるように感じました。

    びやすさ

    Pythonの読みやすさと汎用構文は、初心者やプログラミングの経験がある人にとってはRよりもとっつきやすいと言えるかもしれません。Rの構文は統計演算により特化しているため、統計学者にとっては有利かもしれませんが、他のプログラミング言語から移行してくる人には抵抗がある場合もあるようです。

    とはいえ、筆者個人的な感想としては、Rは他の言語と比べて統計計算ということになると、とてもシンプルで直感的にも使いやすいと思います。いつも電卓の延長のようなつもりで使っています。

    可視化ツール

    Rは美しくて強力なデータの可視化ツールがあることで知られています。特に「ggplot2」のようなパッケージは、様々なデータを自由自在に可視化することができるので、筆者もよく使っています。

    PythonにもMatplotlib、Seaborn、Plotlyなどの強力な可視化ツールのライブラリがありますが、特定のプロットを作成するアプローチは異なる場合があるようです。

    まとめ

    結局のところ、統計分析に置いてRとPythonのどちらかが決定的に「優れている」というわけではありません。 PythonとRのどちらを選択して使うかは、利用する人のニーズ、これまでの経験、当面の統計分析またはデータ分析に関するタスクの性質などによって決めるべきだと思います。

    どちらの言語にも強力なコミュニティと広範なライブラリがあり、統計とデータ分析の分野で広く使われているツールですので、両方の言語を組み合わせて使用し、分析やタスクのさまざまな側面でそれぞれの強みを活用するということもできます。