イギリスの朝ごはんは、イングリッシュ・ブレックファースト(English breakfast)としてよく知られています。これはイギリスの朝ごはんの全般を指す言葉というよりは、料理の名前として定着しています。
この記事では、イギリス在住17年の筆者が、個人的なオススメとともにイギリスの朝ごはん、イングリッシュ・ブレクファースト(English breakfast)についてわかりやすく解説していきます。
イギリスの定番の朝ごはん
イングリッシュ・ブレックファースト
イギリスの定番の朝ごはんは、イングリッシュ・ブレクファースト(English breakfast)と呼ばれるものです。フランスやイタリアなどの大陸ヨーロッパの朝ごはんでは、チーズやハムなどの冷たいものが主流ですが、イギリスの朝食は少し異なり、調理された暖かい朝ごはんを食べます。
イングリッシュ・ブレクファーストは1皿にさまざまなものが載せられていますが、みんながその全てをいつも食べるというわけではなく、フル・イングリッシュ・ブレクファースト(Full English breakfast)と呼ばれる全ての品の中から、好きなものだけをお皿に乗せてもらって食べることもあります。
フル・イングリッシュとは?
フル・イングリッシュ・ブレクファースト(Full English breakfast)は、フル・イングリッシュ(Full English)とも呼ばれています。フル・イングリッシュ・ブレクファースト(Full English breakfast)にはどのようなものが含まれているのでしょう?地方や家庭、ホテルなどによって異なる場合もありますが、一般的なラインナップは以下です。
- ベーコン
- ソーセージ
- 卵
- トマト
- マッシュルーム
- ブラックプディング
- ベークドビーンズ(煮豆)
- トースト
- 紅茶またはコーヒー
イギリス人の朝食は毎日イングリッシュ・ブレックファースト?
イングリッシュ・ブレクファースト(English breakfast)はイギリスの朝食ですが、朝からこんなに!というくらいボリュームも満点で豪快なスタイルの朝食です。これは伝統的なイギリス料理で、日々の忙しい日常にみんなが食べているというわけではありませんが、週末や特別な日に楽しまれることが多いです。また、遅くまで飲んで帰ってきたちょっと二日酔い気味の朝に、エネルギー回復のために食べることもあります。
イギリスの朝ごはんの内容
イギリスの朝ごはん、イングリッシュ・ブレックファーストの中身についてもう少し詳しく見てみましょう。
ベーコン
通常、薄切りの豚のベーコンが乗っています。薄切りと言っても、日本で食べるようなものに比べると少し厚め(2、3mmくらい)の大ぶりなもので、焦げ目がつくくらいカリカリに焼かれたものです。ベーコンには、ブラウンソースと呼ばれるソースをかけて食べることもよくあります。
ソーセージ
ボリューム満点なことが売りのフル・イングリッシュ・ブレックファーストでは、ベーコンだけでは飽き足らず、ソーセージも一緒に食します。一般的には焼いたポークソーセージで、特にカンバーランド・ソーセージと呼ばれるものが使われることがよくあります。
カンバーランド・ソーセージ(Cumberland sausage)は、イギリスのカンバーランド地方に起源を持つ伝統的なソーセージの一種で、ハーブや香辛料が効いていて独自の風味と質感を持つとても美味しく、個人的にも大好きなソーセージです。
卵
イングリッシュ・ブレックファーストの卵は、調理法が決まっておらず、ホテルやレストランでは「How do you like your eggs?(卵はどのようにいたしましょうか?)」と聞かれることがよくあります。卵について聞かれた場合は、好みに応じて、目玉焼き、スクランブルエッグ、ポーチトエッグなどから選びます。
個人的にはつるりとした白身の中から、とろーりと黄身がとろけでるポーチトエッグが一番オススメです。ちなみにイングリッシュ・ブレックファーストの卵がゆで卵であることはほとんどありません。
トマト
日本ではトマトを焼くということは珍しいかもしれませんが、イングリッシュ・ブレクファーストでは通常丸ごとまたは半分に切られた大胆なトマトがフランパンで焼かれて出されます。トマトは生よりも調理したほうが栄養価が高くなる食材ですし、少し焦げ目のついが豪快なトマトは香ばしくてとても美味しいです。
ちなみにヘタもついたまま焼かれていることもあり、オレガノなどのハーブが振りかけられていることもあります。
マッシュルーム
イングリッシュ・ブレックファーストにはガーリックやバターで炒めたり、焼いたりしたマッシュルームもあります。こちらも薄くスライスされているようなものではなく、大きなものでもマッシュルームを丸ごと焼いたり、半分に切ってコロコロするくらいのものが出されます。
トースト
イングリッシュ・ブレックファーストのパンは通常三角形に切られたトーストで、銀色のラックに乗せられたりして出されます。バターを塗ったトーストは、白パンと黒パンのトーストを選ぶことができるので、ホテルやレストランで「White or brown?」と聞かれたらパンのことだと思ってください。
ちなみに日本で一般的に食べられる食パンのトーストは白パンですが、イギリスでは繊維やビタミンが豊富で、噛み締めると味わい深い黒パンのほうが人気があり一般的です。
紅茶とコーヒー
イングリッシュ・ブレックファーストの飲み物は、その名の通りイングリッシュ・ブレクファースト・ティーが一般的です。日本でいわゆる紅茶というとダージリンやアッサム、アールグレイなどが一般的かもしれませんが、イギリスで最もスタンダードなのはイングリッシュ・ブレクファースト・ティーです。
朝食の際に「Tea please!」というとほとんどの場合この紅茶が出されます。クセがないのでイングリッシュ・ブレックファーストもよく合います。その他イギリスではコーヒーもよく飲まれますし、アールグレイが好きな方は、アールグレイと指定すれば出してもらえることがほとんどです。
ベークドビーンズ(煮豆)
ベークドビーンズ(Baked beans)は、トマトソースで煮たナツメ豆(ハリコビーンズ)の料理です。甘塩っぱい味付けですが、香辛料が少し入っていて風味豊かなものもあります。また、トマトが煮崩れて形が残っているものを見ると、手作りのベークドビーンズだなと感じます。
ベークドビーンズは缶詰でも売られているので、イギリスの朝ごはんを再現したい方はぜひお土産にも買ってみてください。イングリッシュ・ブレックファーストにしなくても、トーストにバターを塗ってベークドビーンズを乗せ、チーズをちょっとトッピングするだけでもイギリス名物ビーンズ・オン・トーストという料理ができます。
イングリッシュ・ブレックファーストを食べる際にも、添えられるトーストにこのベークドビーンズを乗せて食べる人もいます。
ブラックプディング
ブラックプディング(Black pudding)は、豚の血液を使って作ったソーセージです。血を使ったソーセージだけあって、黒っぽい暗い色合いを持ち、特有の風味を持つ料理で、イギリス人でも好き嫌いが分かれます。
オートミールを加えて作られるため、普通のソーセージよりはふわりとした食感で、塩が利いていることもあります。香辛料なども多く入れられるため、風味豊かなソーセージです。
ブレックファーストのレシピ
イングリッシュ・ブレックファーストのレシピには、多くのバリエーションがありますが、一般的なものを作る簡単なレシピをご紹介します。
材料
- ベーコン(バックベーコン):2ー4枚
- ソーセージ:2本
- 卵:2個
- トマト:1個(半分に切る)
- マッシュルーム:数個(お好みで)
- ブラックプディング:1つ
- ベークドビーンズ(煮豆):缶詰などから適量
- トースト:2枚
- バター:適量
- サラダ油:調理用
- 塩とこしょう:味付け用
手順
- まずはフライパンを熱し、ベーコンとソーセージ、ブラックプディングを焼きます。ベーコンはカリッとなるまで焼き、ソーセージは全体が均一に焼けるように裏返しながら焼きます。ソーセージの皮にも焦げ目を付けるのがベスト。
- 同じフライパンで、マッシュルームとトマトを焼く。マッシュルームはバターで炒め、トマトは切り目のサイドを下にして焦げ目が着くまで焼きます。
- 今度は別のフライパンを使い、卵を調理します。筆者オススメのポーチトエッグは、フライパンでお湯を沸かし、そこにゆっくりと広がらないように生卵を割り入れます。時々お湯をかけて白味が固まるまで加熱します。
- ベークドビーンズは缶から中身を小鍋入れて温めます。
- トーストを三角形に切り、焼いてバターを塗ります。
- 上記の手順が全て完了したら、大きめの一皿に全てを盛り付けます。
- 食べる際に、好みに応じて塩こしょう、ブラウンソースなどをかけて完成です。
まとめ
いかがでしたか?イングリッシュ・ブレックファーストはフル・イングリッシュの中から好きなものを自分の好みに応じで食べられるのも魅力です。食欲がある時は全部の食材を、ちょっとだけ食べたい時は好きな部分だけ食べることができます。
調理は簡単なものの寄せ集めですので、一皿に大胆に盛りつけたイギリスの朝ごはんを食べて、元気に1日をスタートさせてみてくださいね。