イギリスには有名なサッカーリーグがあります。マンチェスターユナイティッドやリバプールなどがプレーするプレミアリーグは、サッカーファンでなくても聞いたことがあるでしょう。
でも、イギリスのサッカーリーグにはプレミアリーグの他にフットボールリーグもあり、イギリスのサッカーリーグって一体何部あってどうなっているの?と疑問に思う人もいるかもしれません。簡単な答えとしては、イングランドのプロリーグは4部までです。
この記事では、過去10年以上に渡ってイングランドのサッカー取材に関わってきた筆者がそんな疑問にお答えすべく、イギリスのサッカーリーグの構成についてわかりやすくまとめています。
イギリスのサッカーリーグ
イギリスのサッカーリーグはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドでそれぞれ異なるシステムになっています。
一般によく知られているプレミアリーグはイングランドのリーグですが、スコットランドにはそれに相当するスコティッシュ・プレミアシップというリーグがあって、セルティック(Celtic)やレンジャーズ(Rangers)など有名なクラブが競い合っています。
ウェールズにもウェルシュ・プレミアリーグという独自のリーグがありますが、こちらはちょっとスコットランドとは違っていて、スウォンジー(Swansea)やカーディフ(Cardiff)などの大きなクラブは、ウェールズのリーグではなく、イングランドのリーグに属しています。
イギリス連邦を構成する4つの国については、以下の記事もご参照ください。
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イングランドのサッカリーグ
イングランドのサッカーリーグは、プロからアマチュアまでたくさんの階層がありますが、一般に1部から4部までがプロリーグとされています。イングランドのサッカーシステムの階層の一番上にある1部リーグが有名なプレミアリーグというわけです。
階層 | リーグ名 |
---|---|
1部 | プレミアリーグ |
2部 | チャンピオンシップ |
3部 | リーグ1 |
4部 | リーグ2 |
プレミアリーグ
プレミアリーグ(Premier League)は1992年にイングランドのトップディビジョン(1部)として設立されました。それ以前は「フットボールリーグ・ファーストディビジョン」として知られるリーグが存在していましたが、1992年の創設によりプレミアリーグとして特別で新しいリーグがスタートすることになったわけです。
プレミアリーグには、イングランドのトップクラブ20チームが参加します。これらのクラブは、前シーズンの成績に基づいて、プレミアリーグに昇格するか残留するかが決められます。
プレミアリーグは通常、8月から翌年5月までのシーズンを通じて行われます。各チームは全ての他の19チームとホームで1試合、アウェーで1試合を行い、合計38試合を戦います。
シーズン終了時に最も勝ち点(勝利3点、引き分け1点、敗北0点)が多いクラブがプレミアリーグのチャンピオンとなります。優勝チームには「プレミアリーグ・トロフィー」が授与されます。プレミアリーグ上位のクラブは、UEFAチャンピオンズリーグとUEFAヨーロッパリーグ(後述)の出場権を獲得します。
プレミアリーグは世界的に非常に人気のあるリーグであり、世界中からトッププレイヤーや監督が集まります。その試合の質と激しさ、著名なクラブの数々さらには、動くお金の額に置いても世界トップのサッカーリーグと言えるでしょう。
チャンピオンシップ
チャンピオンシップ(Championship)は、イングランドのサッカーリーグシステムにおけるセカンドディビジョン(2部)です。正式名称は「EFLチャンピオンシップ」(English Football League Championship)で、イングランド・フットボールリーグ(EFL)のトップリーグですが、プレミアリーグの1つ下の2部にあたるというわけです。(ややこしいですが、チャンピオンシップ、リーグ1、リーグ2を総称して、フットボールリーグと呼ばれています。)
チャンピオンシップには、20のクラブが参加し、プレミアリーグへの昇格を目指す、あるいはEFLリーグ1(3部)への降格を回避するためにシーズンを戦います。シーズン終了時点でチャンピオンシップの上位2チームは自動的にプレミアリーグに昇格することができます。また、3位から6位までの4チームはプレーオフを行い、勝ち抜いた1チームがプレミアリーグ昇格を決めます。一方、下位3チームはEFLリーグ1へ降格します。
チャンピオンシップもプレミアリーグと同様に、ホーム・アンド・アウェー方式で試合を行います。各クラブは全ての他の19クラブとホームで1試合、アウェーで1試合を行い、計46試合を戦います。
チャンピオンシップはプレミアリーグ昇格を目指すクラブが集まるため、非常に競争が激しく、勝敗が頻繁に入れ替わることがあります。多くのクラブが昇格を目指す一方で、プレミアリーグから降格した有名クラブも参加することがあるため、面白い試合を見ることができるリーグです。
それでもプレミアリーグに比べてチケットが取りやすいのも特徴なので、イングランドサッカー観戦の雰囲気を味わいたい人には個人的にもおすすめのリーグです。
リーグ1
リーグ1は、イングランドサッカーの3部のリーグです。(リーグ1なのに3部というのはちょっとややこしいのですが。)リーグ1には24チームが所属しており、シーズンを通じてホーム&アウェーの方式で試合が行われます。シーズン終了後、チャンピオンシップと同様の方式で、上位の一定数のチームはEFLチャンピオンシップに昇格し、下位の一定数のチームはリーグ2に降格します。
リーグ2
リーグ2は、イングランドサッカーの4部リーグです。リーグ2もリーグ1同様に24チームが参加しています。シーズン終了時に上位のチームはリーグ1に昇格し、下位のチームはナショナルリーグ(National League)と呼ばれる下部リーグに降格します。ナショナルリーグは非プロフェッショナルリーグなので、この降格には大きな溝があると言えます。
イギリスのサッカー大会
イングランドのサッカーは、シーズンを通して行われるリーグ戦だけではなく、カップ戦と言われるトーナメントもあります。一つのクラブが同じシーズンにリーグ優勝とともに、2つのカップも獲得すると3冠呼ばれます。
FAカップ
FAカップは、イングランドサッカー協会(The Football Association、通称FA)が主催しているトーナメントです。1871年に創設され、世界で最も古いサッカーカップ戦として知られています。FAカップは、イングランド全土のクラブチームが出場権を持ち、プロとアマチュア両方のさまざまなレベルのチームが参加します。
プレミアリーグの強豪チームが、名前も知られていないようなアマチュアチームと対戦することもあり、アンダードッグが勝つような試合はニュースでも取り上げられ一層の盛り上がりを見せます。トーナメントはノックアウト方式で行われ、準々決勝、準決勝、そして決勝戦まで進んで優勝チームが決まります。
EFLカップ
EFLカップは、イングランドのEFL(English Football League)が主催するリーグカップ戦です。EFLカップは、EFLのメンバーであるプロのクラブが参加します。プレミアリーグのクラブも含まれますが、プレミアリーグのトップ6クラブは通常、UEFAチャンピオンズリーグやUEFAヨーロッパリーグなどの国際大会との日程と重なることから、初期のラウンドの出場を回避することがあります。EFLカップもFAカップ同様にノックアウト方式で行われ、決勝戦で優勝チームが決まります。
イギリスが参加する欧州サッカーリーグ
チャンピオンズリーグ
チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)は、欧州のトップクラブが参加する最も権威のあるクラブ大会です。UEFAチャンピオンズリーグは、ヨーロッパ各国のリーグで上位に位置するクラブチームや前年度大会の優勝クラブなどが出場権を得ます。トーナメントは予選ラウンドから始まり、グループステージ、ノックアウトステージを経て、決勝戦が行われます。各国のリーグでの成績に応じて出場枠が決まりますが、プレミアリーグ、ラ・リーガ、セリエA、ブンデスリーガなど、欧州のトップリーグから多くのトップクラブが参加するので、非常にレベルが高く人気のあるリーグです。
ヨーロッパリーグ
ヨーロッパリーグ(UEFA Europa League)は、UEFAチャンピオンズリーグに次ぐ2番手の位置付けの大会になります。チャンピオンズリーグに出場できなかったり、チャンピオンズリーグのグループステージで敗退したクラブや、一部の国のカップ戦の優勝クラブなどがヨーロッパリーグに参加します。トーナメント形式はチャンピオンズリーグと似ており、予選ラウンド、グループステージ、ノックアウトステージ、決勝戦が行われます。優勝チームは次年度のUEFAチャンピオンズリーグ出場権を獲得します。
まとめ
いかがでしたか?ちょっと複雑なイギリスサッカーの仕組みについてご理解いただけたでしょうか?トップディビジョンのプレミアリーグだけでなく、下部のリーグにも注目すると、昇格や降格の喜びをイギリス地元ファンとも共有できるようになって、より一層歴史と伝統にはぐぐまれたイギリスサッカーの魅力を感じることができますよ。
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