記憶力を良くしたいというのは誰にもある願望ではないでしょうか?記憶力がよければ、テストもプレゼンもうまくいきますよね。実際のところ、記憶のテクニックというのは存在します。この記事では私が読んだ幾つかの本に共通して登場するテクニックをご紹介していきます。
私自身あまり記憶力が良い方ではないのですが、記憶のテクニックを使うことで覚えられないと思ったものが覚えられるという経験をしてきました。突然何百桁の数字を覚えられたりすると言うものではなく、高度な記憶のためには訓練も要するのですが、日常や仕事で使うくらいの記憶力であれば、この記事で業界するテクニックでも十分に改善の効果が感じられると思います。
簡単に記憶力を良くする方法
まずあなたの記憶力をテストしてみましょう。以下の英単語を一度だけよんで、いくつ覚えられるか試してみてください。
picture, of, me, that, and, far, else, the, other, step, than, which, room, was, should, away, dot, London, tennis, little, when, left, change, see, done, his
もし全部記憶できたら、おそらくこの記事を読む必要はないと思います(笑)おそらく多くの人が、以下の単語はしっかりと記憶できていたのではないでしょうか?
picture, London, tennis, room
これらはイメージの湧きやすい単語です。具体的なものの形や存在をリアルに感じることができるものは、比較的簡単に記憶することができるのです。それに対して、
3479045786983467957873647567483
のようなイメージの湧かないランダムな数字を記憶するのは非常に難しいです。よって記憶力を良くするテクニックの多くが、記憶の対象を脳が鮮やかに存在を認識できるものにリンクさせることを促しています。特に記憶に残りやすくなるのは、以下の要素が明確で対象物が鮮やかに頭の中に描き出される場合です。
- 五感
- 動き
- ユーモア
- シンボル
- 色
- 誇張
- ポジティブなイメージ
- 数字
それでは具体的に3つの記憶のシステムの使い方についてみていきましょう。
リンクシステム
シーンを描き出して記憶する
お買い物リストなど、比較的短いリストを覚える時に有効とされているのがこの「リンクシステム」と呼ばれる方法です。リストにあるものをお互いに関連づけることで記憶します。関連というのは、覚える対象物が登場するストーリーやシーンを描き出すことです。
買い物リストを記憶する
例えば、以下の買い物リストを覚えることを考えてみましょう。
- バナナ
- 卵
- 牛乳
- 手洗い用石鹸
- 歯磨き粉
- 乾電池
- リップグロス
- 切り花
8つくらいならそれほど苦労せずに覚えられそうですが、うっかり何か1つ買い忘れてしまった!ということもありますよね。このリンクシステムを使えば、そういう「うっかり」もなくすことができます。お互いをストーリーで関連づけているため、リストとして暗記しているときのように、一つ飛ばしてしまったということが少ないのです。さっそく8つのお買い物リストを、できる限り想像力を膨らませて物語に仕立ててみましょう。
自宅のドアを出ると、向かいの家の塀の上に、愛嬌のある猿が座っています。両手には黄色い熟れたバナナを持って美味しそうに食べています。バナナを食べ終わると、私の真ん前にやってきて、卵を投げて曲芸を始めました。そこにたまたま通りかかった白黒模様の牛が、猿が受け損なった卵の一つをキャッチしました。すると猿は牛に近づいて行って、牛乳を搾り始めました。搾り終わると今度は、牛から出ている牛乳で手を洗い始めました。手を洗ったあとは歯も磨きます。
突然猿の動きが止まりました。パタンと倒れた猿の背中にはジッパーが付いていて、それを下げてみると2本の乾電池が入っていました。うつ伏せではかわいそうなので猿を仰向けにしてみると、猿の唇が思いの他ツヤツヤで赤いのが目に止まりました。すると電池の切れたはずの猿がにっこり笑って、バラの花を差し出しました。
こんな感じの、できるだけありそうにない、動きや色彩が豊かでとんでもないストーリーを作り上げると、記憶に残りやすくなります。
プレゼンを記憶する
これはプレゼンの内容を覚えるのにも使えます。プレゼンであれば1つの項目をリストの1つとみなして、項目と項目のリンクにストーリーを与えます。すると、単に箇条書きで暗記するよりも記憶しやすくなります。項目を独立させて思い出そうとするのではなく他のものとリンクしているため、すでに話した前の項目が次の項目を思い出すヒントとして働いてくれるからです。
ペグシステム
順序を記憶する
買い物リストであればリンクシステムを使いストーリーで関連を作って覚えることが可能ですが、順序を覚える必要がある場合などは、覚える対象のものと順序の数字と関連づける必要があります。そこで使えるのが、「ペグシステム」と呼ばれる方法です。
ペグというのは帽子やコートなどをかけるフックのことです。ペグとなるもの、ここではペグとなるものに特定のイメージを与え、覚える対象のものをそのイメージと関連づけることで順序とともに記憶していきます。ここでは順序の数字がペグとなり、覚える対象が帽子やコートなどフックにかけるものということになります。
数字にイメージを関連づける
まずは、脳内にペグを作るところから始まります。1から10までの数字のそれぞれに、自分がもっとも関連性が強いと感じるものを割り当てていきます。ここで関連性が強いものというのは、形が似ているなどの理由から、それを見るとその数字を即座に思い出すことのできるものです。私の場合、1から10までの数字のそれぞれには次のようなものを割り当てることができます。
- 鉛筆
- アヒル
- 耳
- ヨット
- フック
- おたまじゃくし
- 崖
- 洋梨
- タツノオトシゴ
- 目玉焼き
想像力というのは人それぞれで、ある数字を連想させるものは人によって異なるため、上記の例にとらわれず自分が一番ぴったりくると感じるものをペグとして使うのが一番です。
数字のペグに対象物を掛ける
今度は以下のハリウッド俳優の名前のリストを順番とともに覚えることについて考えてみましょう。
- ブラット・ピット
- レオナルド・ディカプリオ
- ブラッドリー・クーパー
- トム・クルーズ
- ジョニー・デップ
- ウィル・スミス
- ライアン・ゴスリング
- マット・デイモン
- ブルース・ウィルス
- ジョージ・クルーニー
最初に作った数字のペグに俳優の名前をかけていきます。このときもリンクシステムで行ったように、鮮やかで空想力に飛んだ、とんでもないシーンを想像するとより記憶しやすくなります。
- ブラット・ピットが鉛筆でアンジェリーナ・ジョリーの似顔絵を書いている
- レオナルド・ディカプリオがアヒルを浮かべた湯船に浸かっている
- ブラッドリー・クーパーの耳が肥大してダンボの耳になっている
- トム・クルーズがミッションインポッシブルの走りでヨットに飛び乗る
- ジャック・スパロウがフック船長と戦っている
- ウィル・スミスがおたまじゃくしをタモですくっている
- ライアン・ゴスリングが崖っぷちでピアノをひいている
- マット・デイモンが洋梨をかじっている
- ブルースウィルスが水槽に入ったタツノオトシゴを眺めている
- ジョージ・クルーニーが目玉焼きを食べながらネスプレッソを飲んでいる
これで、俳優の名前を順序通りに記憶することができます。3Dで脳内に描かれるシーンの助けを借りて、単に名前と数字を結びつけるよりも覚えやすくなるのです。
記憶の宮殿システム
自宅の間取りをペグにする
こちらもペグシステムのひとつですが、今度は数字をペグとするのではなく、見慣れた自分の家の空間をペグとして使います。玄関を入ってから、順に目に入るものを思い起こしてみてください。そこに記憶する対象のものを順に置いていきます。例えば、私のロンドンの家の間取りは玄関を入って最初の部屋がキッチンなので、順に以下のようになっています。
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- 流し台
- テレビ
- ダイニングテーブル
- ソファ
- ピアノ
- 収納
- ベッド
- バスルーム
間取りのペグに記憶の対象物を掛ける
例として、10のUKロックのバンドの名前を記憶することについて考えてみましょう。
- 冷蔵庫:ローリングストーンズ
- 洗濯機:レディオヘッド
- 流し台:オアシス
- ダイニングテーブル:ピンクフロイド
- テレビ:クイーン
- ソファ:アークティックモンキーズ
- ピアノ:コールドプレイ
- 収納:レッドツェッペリン
- ベッド:ビートルズ
- バスルーム:ミューズ
これは想像の中だけで行うのではなく、実際に空間を使うことでも実践することができます。ポストイットノートに書き出した各項目を、玄関を入ってから奥の寝室に行くまでの各場所に貼るのです。自宅にあるものというすでに身近で記憶の確かなものと覚える対象を関連づけることで、より確かに記憶することができます。
まとめ
こういった記憶のシステムは使えば使うほど、脳がトレーニングされて記憶が良くなるそうです。買い物にいくなど、ちょっとメモを取ろうかなと思うときにペンを置いてこのシステムを使ってみてください。小さなことで記憶力が良くなったという自信が持てれば、プレゼンなどの大きな舞台でも自信を持って臨むことができるはずです。