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心を支配する方法

    ビジネスや社交の場で、人の心をコントロールする方法があったらいいのにと思ったことはありませんか?心理学を利用して、コミュニケーションを円滑にし、自分の思い通りに交渉や話を進める方法が実は存在しています。この記事では、ビジネスコミュニケーションにも使える人の心を支配する方法について、まとめてみたいと思います。

    心を支配する方法

    心を支配する人

    ロンドンで行われたとあるセミナーに行ったときに、20代半ばくらいのある男性が、ものすごく上手にネットワーキングをしているのを目撃しました。知らない人になんの躊躇いもなく話しかけ、プロフェッショナルな挨拶をし、軽やかに会話を繰り広げているのです。会場には30人くらいの人がいたのですが、ほぼ全員と話していて、彼が誰よりも優れたコミュニケーターだということは明らかでした。

    訓練で支配できるようになる

     会が終わった後、そのデービッドという子と話す機会があったので、私は本人のところに行って話しかけてみました。「あなたはここにいる誰よりも人と関係を築くのが上手いですね」って。すると、彼ははにかんだ笑顔を浮かべて「サンキュー」と言った後に、「そう言われてすごく嬉しいです。というのは、僕のコミュニケーションスキルは訓練の賜物だからです」と言うのです。

    人と関わるのが上手な人というのは、生れながら、あるいは育った環境によるものだと思っていたのです。私は一人っ子で、小さい頃から人見知りだったので、今でも知らない人と関わることにストレスを感じることがあります。それはどうしようもないことだと思ってきました。この軽やかに部屋を縦横しながら、そこにいたほぼ全員と仲良くなっていく彼が、努力の成果としてそれを成し遂げたとは思えなかったのです。

    私は取材者の仕事をしていているので、初対面の人にも心を開いてもらう必要があります。今までもコミュニケーション能力をアップさせるヒントになる本を読んだり、経験的に試行錯誤したりしてきました。でもデービッドのレベルは本当にかなり上を行っていました。

    ビジネスコミュニケーション本

    もちろんすらっとしていながらも驕りのない顔立ちをした彼の雰囲気というのがその親しみやすさを助長しているところはありますが、一体彼がどんなテクニックを使っているのが知らないで帰るわけにはいきませんでした。すると彼はある本について教えてくれました。

    「The Like Switch」という本です。邦題は「元FBI捜査官が教える「心を支配する」方法」です。

     

    Jack Schaferという、元FBIのエージェントによって書かれた心理学本というところも目を引く点なのですが、読んでみると自分の経験的にも納得できる様々なコミュニケーションテクニックが載っていました。要点を順にまとめてみたいと思います。

    The Like Switch要点のまとめ

    1. フレンドシップ・フォーミュラ
    2. 非言語的なサイン
    3. 相手をいい気分にさせる
    4. 吸引の法則
    5. 相手の話を聞く
    6. 目を見て、動きを真似る

    フレンドシップ・フォーミュラ

    まず、人に好かれるためにはどうしたらいいのかという問いに、みなさんはどう答えますか?素直に、正直に、自分らしく人に接すること、などと答えるかもしれませんね。でも、何もしないで自分らしくいれば、誰もがすぐに好意を寄せて寄ってきてくれるかというとそういうわけではありません。

    そこで著者は、性格や雰囲気とかに関わらず、人から好意を寄せられるためのテクニックを教えてくれます。これはFBIのエージェントだった著者がスパイに心を開いてもらうために使ったテクニックでもあります。それが本の中で、フレンドシップフォーミュラと呼ばれているもので、次の4つになります。

    Frequency, proximity, duration, intensity
    頻度、近接、持続時間、強度

    まず最初のステップは、友達になりたい人の近くに、頻繁に姿を現すことだそうです。同じ環境を共有する人通しはお互いに惹きつけられる可能性が高くなるのだそうです。話しかけなくても、同じ場所、近距離にいるだけでいいのだそうです。できるだけ頻繁に友達になりたい人の周りにいるようにしてみてください。

    それから、過ごす時間が長いほど相手は好意を抱くようになるそうです。さらに非言語的な合図を送ることで相手との接触の強度を高めることができるそうです。例えば、目を合わせてみたり、頷いてみたりすると、相手は興味を持つようになるそうです。そうやって、実際に言葉をかわす以前に関係を築くことができるというんですね。

    ちなみにこれは、別のマーケティングのセミナーで聞いたこととも一致しているなと思いました。私はあまりメールマガジンを読まないので、こんなマーケティング効果あるのだろうかと思っていたんです。でもメルマガは、何度も送って受信者に存在を認識されると、それだけで相手に親近感が沸くという心理学を利用しているのだそうです。

    不思議ですが、話しかけないのに近くに行って頻繁に空間を共有するいうのは、よく考えてみるとちょっと怪しいですが、まず頻繁に近づくというところから初めてみてください。

    非言語的なサイン

    本の中では、いくつかの言語以外相手に異なる印象を与える身体の動きについて説明されています。

    とても速い、眉毛の上下の動きが、相手に対して自分は的ではないという信号を送るといいます。これはかなり遠くからでも認識される動きだそうで、これを確認した相手はまずあなたに対する警戒心を解きます。

    それから頭を少し傾けるという動きも相手に対して脅威ではないことを示すジェスチャーだそうです。頭を傾けると、頚動脈が露出されるのですが、私たちは無害な相手にしか動脈を晒すことはありません。逆に脅迫されたと感じたときに、肩をすくめて首を沈めるのは頚動脈を守るためだそうです。

    よって、頭を少し傾けて話している人は、頭を直立させている人に比べて、よりフレンドリーで正直な人と認識されるそうです。

    そしてもう一つ強力な非言語的シグナルとされているのが、素直なお顏です。笑顔はより親しみやすく、魅力的で、友好的であるという印象を与えます。また笑顔を作るとエンドルフィンが放出され、私たちに幸福感を与えます。しかも笑っている相手に笑顔を返さないのは難しいことなんだそうです。

    相手をいい気分にさせる

    人は、自分をいい気分にさせてくれる人の近くにいたいと思う生き物ですよね。普通嫌な気分にさせるような人の近くにはいようと思いません。

    著者は、相手をいい気分にするというテクニックを使って、なんども飛行機でビジネスクラスにアップグレードしてもらったそうです。私はエコノミークラスでのフライトが本当に大嫌いなので、これを聞いて本当に実践してみようという気になりました・笑。

    著者は空港のカウンターの接客係が前の客の苦情対応しているのを目撃します。彼は自分の番が来た時、相手に同情を示す言葉をかけます。そしてしばらく接客係の愚痴を聞いてあげます。そうすることで、相手がいい気分になり、自分の欲しいものを手に入れるという結果に至ります。

    人というのは相手に提供されたポジティブな感情を返したいと思うものなのだそうです。なんだかいいですね。実際、空港で接客係を怒鳴りつけるクライアントさんとご一緒したこともありますが、何も出てきませんでした。どうせ得るものがないなら、みんないい気分でいられるようなやり方を試してみたほうがいいように思います。

    吸引の法則

    誰かと友達になりたいときや、仲良くなりたいとき、幾つか使える法則があります。その一つは「類似の法則」です。人は同じ考え方や同じ好みを持っている相手と友達になる傾向があります。良い関係を築きたい相手との共通点を探すことで、この法則を使うことができます。

    会話からでも構いませんし、身につけているものなどから共通点を見つけることもできます。極端に言えば、本当の共通点でなかったとしても、相手の興味が明確な場合、私もそれが好き!ということで、親密な関係を持ったと思わせることもできるわけです。

    それから共感を示す言葉で会話を始めることもできます。楽しそうにバーで飲んでいる女性に声をかける時は、「So, you are having a good day?」などと言うと、相手はいい1日である理由を説明してくれたりします。

    次の法則は「好奇心の法則」です。そもそも興味がない相手に好意を抱かないですよね。ここで使えるテクニックとしては、相手に興味を持っていることを示すと、相手は自然と私たちに興味を持つようになるのだそうです。

    また誰かの興味を引くようなことをすることもできます。例えばカフェでメニューから変わったものを注文してみるとか、変わったタイトルの本を公の場で読んでみるとか。そういうことをすると興味を持って会話の糸口になることがあります。

    また、人に何かをしてもらうと、何かを返さなければと思うのだそうです。小さなことでも構わないので、何かしてあげると相手もその好意に報いようとして良い関係を築くことができるというわけです。

    さらに、誰かに何かをお願いするというのも好意を持ってもらうテクニックだそうです。誰かに何かをしてあげたと思うと、相手はいい気分になるからだそうです。例えばトイレに行ってくる間、ちょっと席をとっていてもらえる?とか、コートを持っていてくれる?とか小さなことをお願いしてみるといいそうです。

    相手の話を聞く

    自分の話を中途半端に聞いている人や、他のことに気を逸らされている相手に話をするとき、いい気はしませんよね。ですから、人の話を聞いている時、アイコンタクトを維持し、ちゃんと聞いているということをアピールする必要があります。

    それから、誰かと話している時は相手の非言語的シグナルやボディランゲージを観察してみる必要があります。後ろにもたれかかったり、腕を組んだり、上下の唇を結んだりしているのは、会話がうまく運んでいないことを示すサインだそうです。相手が興味を失っている、あるいは自分が喋りすぎているなどの理由が考えられます。そういうときは、相手の興味に合わせて会話を運ぶと解消できます。

    それから、相手の経験していることや言っていることに対して共感するということも重要です。例えば、カフェで忙しそうに働いているウェイターに、「Wow, you’re busy. I don’t know how you do it!」と声をかけると、好意を抱かれるのだそうです。確かに、自分のことをわかってくれていると思う相手には、心を開きますよね。

    目を見て、動きを真似る

    いくつかの方法で、相手とどれくらい関係が築けているかのテストをすることができるそうです。例えば目をじっとみて、目を逸らされるようであれば、それほど親密な関係がまだ築けていないということになります。

    体への触れ方でもチェックすることができます。普通は肩の少し下あたりに触れる程度ですよね。それ以外の場所に触れている場合はより密接な関係を意味します。座っている時は、前腕、あるいは膝に触れると信頼関係が確率されているかどうかをチェックすることができます。

    これは自分と相手の関係だけではなく、誰か2人の人の関係を客観的に観察している場合にも使えます。心理的につながりのある人は、会話の間にお互いのボディランゲージを真似することが多いので、それを指標にすることもできます。

    もし自分がやっている動きを相手が真似している場合は、その相手との関係が確立されていることになります。良い関係を築きたい相手のボディランゲージを真似るというのも使えるテクニックです。

    いかがでしたか?本を読む前に聞いたことのあったものも結構あったのですが、著者が使った実例なども示されていて面白いなと思いました。よろしければ読んでみてください。デービッドもこれらのテクニックの実践を繰り返して、その行動が体に染み付いて、今はあまり考えなくても無意識にテクニックを使っているといっていました。