学生ビザやワーキングホリデービザを使ってイギリスへの語学留学を考えている人も多いと思います。せっかく英語を学ぶなら本場の英国が絶対おすすめですが、やはり気になるのは費用ですよね。
今はロンドンを拠点に働いている私も、最初にイギリスを訪れたのは語学留学がきっかけでした。それからイギリスの大学院を出て働き始め、イギリス歴も10年を越えました。リーマンショック、EU離脱、コロナウィルスと激動の時代をイギリスで生きてきた経験から、イギリス語学留学の費用について率直にお答えします。
イギリス語学留学費用
語学留学にかかる費用として、考慮したいのは主に次の5つです。もちろん、個人的に様々なアクティビティを行ったり、近隣のヨーロッパ諸国に旅行に出かけたりして留学を充実させるにはさらなるお金がかかりますが、まず抑えておきたいのは次の項目です。
- 学費
- 家賃
- 生活費
- ビザ
- 場所選び
学費
語学留学をする上で一番の出費となるのは、語学学校に支払う学費です。週あたりの授業時間数、受講する期間、一般英語かアカデミック英語、ビジネス英語かなどによっても値段は異なるので、学校のサイトの料金表を確認して自分に一番良いオプションを探していきます。
語学学校選び
6ヶ月未満の語学留学、あるいはワーキングホリデービザを使っての留学を考えているのであれば特に問題ないのですが、学生ビザを取得して6ヶ月以上滞在しようと考えている人は、学校選びの際に注意しなければいけないことがあります。学校から学生ビザ取得のサポートをしてもらうためには、その教育期間がビザスポンサーとして指定されていることが必要です。学生ビザを取ろうと考えているのであれば、以下のリンクのPDFファイルに載っている学校に籍を置くようにしましょう。またスポンサー指定のある学校は一般に評価も高く、信頼のおけるところが多いので、学校選びの参考にするのもよいと思います。
ちなみに上記のリンクの表には、様々な教育期間が混在しています。語学学校だけではないので悪しからず。
語学コースの料金
語学留学の場合、ビザなどの規定においては、最低就学時間数は設けられていません。ただ本当に英語を勉強したいなら、1日3時間で週15時間のコースは取るべきです。一般英語のグループクラスで週15時間のコースあれば、週150〜250ポンドくらいが相場です。長期間に渡ってコースを継続すればその分1週間あたりの値段は安くなります。また1日の授業時間を増やせば、1時間あたりの費用を抑えてより多くの授業を受けることもできます。
先生と1対1のプライベートコースというオプションもあります。私も最初に語学留学したときはこのオプションで学校に通っていました。グループクラスだと発言の機会も少ないので、できるだけ効率的にと思ってプライベートという選択をしました。お値段は15時間で週750〜1000ポンド程度が相場です。最初はプライベートにして、1ヶ月、2ヶ月後にグループクラスにというやり方も可能ですね。
授業以外の時間の使い方
特にプライベートコースを選択した場合は、空き時間に他のクラスの生徒に話しかけたり、学校が催すレクリエーション活動に参加したりするべきです。語学学校は勉強をする場所であると同時に、他の国の人と一緒にイギリスを楽しむチャンスでもあります。友達を作って話をするというのが一番の英語の上達方法であることを忘れないでください。
家賃
学費の次にかかる大きな出費としては家賃です。イギリスの住宅は、日本と違ってワンルームマンションのような形のものは少なく、2〜3部屋の寝室のあるマンション(イギリスでは一般的に「flat」と言います)や家を台所やリビングを共有する形で友達などとフラットシェアをするのが一般的です。学生向けのマンションの場合は、ホテルのように1室にベッドと机の他、トイレとシャワーが設置されていて、キッチンやレクリエーションルームを大勢で共有するというタイプのものもあります。
家賃の相場
家賃の相場はエリアや物件、さらには為替によっても変わってきますが、ロンドンの家は基本的に東京よりも高いと思っていただくとよいと思います。シェアフラットの1室を借りるのであれば、月500〜1000ポンドくらいが相場です。イギリス人をはじめ、いろんな国の人と暮らす経験ができるのが魅力ですが、同時に異なる文化圏の人の生活に振り回される可能性があることは覚悟しておく必要があります。
安い物件に潜む危険
もっと安い物件もありますが、イギリスの家は築200年など古いものも多く、カビやネズミなど衛生面での条件が悪いものもあるので注意が必要です。また、安い物件は治安の悪い地域(特にロンドン東部やテムズ川の南側のエリアなど)にある可能性もありますので、エリアについての情報も確認するようにしましょう。
一人で住むならスタジオ
シェアをせずに一人で住みたいというのであれば、月1000〜2000ポンドくらいが相場になります。寝室とキッチンやリビングスペースが分かれていない、「studio」と呼ばれるタイプのものであれば、少し値段は月1000〜1500ポンド程度と少し安くなります。学生向けマンションも同じくらいの相場です。寝室が他のスペースと分かれている、いわゆる1DKくらいのフラットになると、月1500〜2000ポンドくらいと少し高くなります。
敷金、礼金はある?
基本的に敷金、礼金はありませんが、不動産屋に払う紹介料や事務手数料がある場合があります。また4〜6週間分の家賃をデポジットとして預けることが求められます。デポジットは退去の際に借りていた家に損傷などがない場合には返金されます。
物件探しに役立つサイト
イギリスで家探しをするのであれば、以下のサイトがオススメです。このサイトには、大手の不動産屋の情報から、個人の大家さんの物件までかなりのものが網羅されているので、とりあえずこのサイトを見ておけば他のサイトは見なくても大丈夫というサイトです。
Rightmove – UK’s largest property portal
日本人の大家さん、日本人のルームメイトを希望しているのであれば、日系のポータルサイトを利用することもできます。こちらは日本語のサイトで、日系の不動産屋の物件情報も豊富です。また、中古品の売り買いサイトにもなっているので、家電など生活用品を安く購入するのにも利用することができます。
生活費
家賃の他には、光熱費、通信費、税金などの出費があります。学生であれば税金は免除されますが、ものを購入するときの消費税は払わなければいけません。イギリスの消費税は20%なので、日本と比べると高く感じると思います。でもヨーロッパは19〜21%の消費税が一般的なので、他の欧州諸国と比べると標準的ということになります。
為替変動の影響
日本で貯めた貯金を元に生活する場合の費用は、そのときの為替相場によってもかなり左右されます。最近は1ポンド150円程度ですが、私が大学院留学をしていた頃は1ポンド270円という時代だったので(ほんの十数年前のことです)、安く手に入るジャガイモばかり食べていました。今でも、日本なら100円ちょっとで買えるオレンジジュースの紙パックが300円相当の値段がするなど、基本的に物価は高めです。
レストランは高め
レストランなども日本に比べるとやはり割高です。ロンドンに在住の芸能人の方が、「テレビで5000円のランチを食べていると報じられたけれど、普通にちょっとしたランチに行けば5000円くらいかかるのは普通ですよね?」と言われたのですが、それは本当で、私のような庶民でもランチに5000円払うことは普通にあります。
B級グルメを攻略しよう
何もかもが安くて高品質の日本とは違い、ヨーロッパでは品質やサービスにはお金を払うというのが基本的な考え方です。それでもインドカレーやケバブなど、B級グルメにも優れたものはありますので、うまくやりくりしながら留学生活を楽しんでいただきたいと思います。
ビザ
6ヶ月以上の滞在予定でイギリスに留学するのであればビザを取得することが必要です。ビザの申請費用は348ポンドですが、病院を利用するための料金(immigration health surcharge)として1年300ポンドの支払いを別途求められます。これは学生ビザでもワーキングホリデーでも同じです。
長期で暮らしたいならビザに準じて計画する
昔は学生ビザを10年間更新し続けて、永住権を取得していたような人もたくさんいたようですが、今は純粋な語学留学目的の学生ビザは12か月までしか滞在が許可されていません。もし英語の勉強だけでなくイギリス移住も視野に入れているのであれば、ワーキングホリデービザや他のビザを組み合わせるなどして、移住計画を立てるべきです。
ビザに関する便利なリンク
イギリスの就労ビザに関する情報とアドバイスは下のリンクに載せていますので合わせてご覧ください。
以下はイギリス政府の学生ビザについてのサイトです。申請書類なども以下のリンクからアクセスできます。
場所選び
私はこれまでオックスフォードとロンドンで短期の語学留学をしたことがあるのですが、場所選びというのも語学留学の重要な要素です。ロンドンやオックスフォードはイギリスの中でも家賃や物価の高い地域として知られていますが、イギリスの北部、例えばリバプールやリーズなどに行けば家賃はイギリス南東部の半分ほどまで抑えることができます。また、ロンドンは人種のるつぼで様々な国の人と知り合える一方、地方ではより多くのイギリス人と関わることができます。
地方に留学するメリット
もちろんイギリス北部の地方都市の人と話をすると、訛りがあって聞きにくかったりすることはあると思いますが、よりイギリスらしい留学体験をしたいのであれば、デボンやコーンウォール、湖水地方などといった有名な観光地の周りなども含めて留学先を検討してみるといいと思います。
私はロンドンでの語学留学でたくさんのイタリア人やドイツ人と友達になった一方、イギリス人と関わる機会が好くなったことを反省に、フランスに短期語学留学した際はパリを避けて地方に留学していました。より多くのフランス人と関わることができたのは事実です。
それではみなさんの語学留学がうまく行くことを祈っています!