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イギリス大学院留学してよかったこと

    イギリスの大学院留学

    私は今ロンドンを拠点お仕事をしていますが、そもそもイギリスに移住してきたきっかけは大学院留学でした。就職やビザといった点においても海外の学位を持っているということは非常に役立ちます。

    この記事を読んでいる方はイギリスの大学院留学を考えているのではないかと思うので、まずは簡単に私の留学の概要からお話していきます。

    私は京都大学を卒業した年(22歳のとき)の9月にロンドンに引っ越し、10月からロンドンのインペリアルカレッジロンドン(Imperial College London)というイギリスでは理系大学として知られた大学の修士課程に入りました。専攻は「科学史(History of Science)」、科学の歴史です。同じコースにはイギリス人だけでなくアメリカ人やカナダ人、インド人などの留学生も多くいました。

    先生たちも国際色豊かで、イギリス人だけでなく、オーストラリア人、アメリカ人、さらに「チューター」と呼ばれる私の指導教官はイタリア人の女性で、ひどいイタリア訛りのせいで彼女が言っていることが理解できないこともしばしばありました。もちろん入学許可を得られるだけの英語力はつけて来たつもりでしたが、様々な訛りで話される英語を理解するのはほとんど不可能に近かったことを覚えています。

    イギリスのまずいご飯や、高い家賃など、辛いことは数え切れないほどありました。それでも今振り返れば、大学院留学が与えてくれたものはたくさんあります!

    興味のある方はこちらの記事も合わせてご参照ください。

    イギリスの大学院に留学してよかったこと

    イギリスの大学院は基本的に1年コースです。1年で修士号が取れるというのは魅力ですよね。正直言うと辛いこともたくさんありましたが、今振り返って留学してよかったと思うことベスト5を挙げてみたいと思います。

    • 5位:憧れのガウンを着た卒業写真を撮れた
    • 4位:正しいリサーチ方法を知った
    • 3位:ビザが取れた
    • 2位:学歴で信頼を得られるようになった
    • 1位:論理的な思考ができるようになった

    5位:憧れのガウンを着た卒業写真を撮れた

    海外の大学留学と聞いてみんなが想像するのは、映画などでも取り上げられているあの黒いマントのようなガウンではないでしょうか?それを着て、あの角ばった独特の帽子を投げる、という想像をしていました。でも卒業式直前に気づいた事実、それは私の通っていた大学の卒業式のコスチューム一式に帽子がないということです・・・。せっかく海外の大学を卒業するのに残念すぎます。

    それでも、インペリアルカレッジの卒業式は、ロンドンのコンサートホールとしても名高いアルバートホールという会場で行われる格式高いものです。大学のキャンパスがホールのすぐ裏というロケーションゆえなんですけどね。そんなアルバートホールの前で撮った写真は、私の若かりし頃の良き思い出です。

    4位:正しいリサーチ方法を知った

    日本の大学と一番違ったと思うのは、コースが始まってすぐに与えられた様々なリサーチツールです。私は日本で京都大学を出ているのですが、もちろん京大の図書館も素晴らしいコレクションを持っていました。

    でもイギリスの大学院では、自分の大学であるインペリアルカレッジの図書館にプラスして、ロンドン大学のネットワークの図書館と上院図書館へのアクセスも与えられました。それからJSTORという電子図書館へのアクセスも無料で、コースワークの中でもそれを使うことが奨励されていました。

    大量の資料に短時間で目を通さなければいけない大学院の授業は本当に大変だったのですが、関連論文の探し方や引用の仕方、さらにどんなリサーチでもまずは第一次文献に立ち返るというリサーチの基本は、今の仕事の中でも確実に役立っています。

    3位:ビザが取れた

    今はイギリスの移民法も変わってしまったのですが、私が留学した頃は大学、あるいは大学院を卒業すると1年とか2年の就労ビザがもらえるというシステムがありました。こういうシステムは他の国にもあって、高等教育を受けにやってくるそれなりに教育水準の高い外国人を国の労働力にしようという意図があります。

    それにうまく乗ることができると長期的に海外で働けるビザをとることもできます。私はまず卒業資格からもらったビザを使って就労経験をいくつか積んで、それから会社に就職したあとは会社を通して就労ビザをとって、その就労ビザを何度か更新する中でイギリスの永住権を獲得したという流れになります。

    私は国際結婚してイギリスに来たとかではないので、やはりイギリスでの高等教育の卒業資格を持っていなかったら、ビザを取るのはなかなか難しかったと思います。

    2位:学歴で信頼を得られるようになった

    日本でどれだけいい大学を出ていたとしても、外国人の大半は日本の大学名をほとんど知りません。私の出た大学はオックスフォードやケンブリッジほどの知名度ではないにしても、それに続くイギリストップの大学の一つなのでイギリス人をはじめ、タイムズ紙の世界大学ランキングトップ10を見ているような人は知っている名前です。

    世界トップ10に入る大学は英語圏の大学、ほぼアメリカとイギリスの大学ので、人生を通して履歴書に記す名前としては使い勝手がいいと感じます。また、インペリアルカレッジは現在はかつてロンドン大学の一校だったので、ロンドン大学の他の大学、ユニバーシティカレッジロンドンやロンドンスクールオブエコノミックスの出身者ともほぼ同じ大学の卒業生のように話をすることもできます。

    とくに私のコースはユニバーシティカレッジロンドンとの共同運営プログラムだったので、UCLの図書館を利用することや、学食に行くこともあって、そんな会話でUCLの卒業生と盛り上がることもできます。

    1位:論理的な思考ができるようになった

    何よりも大きな収穫だったと思うのは、論理的な思考、そして学術論文の組み立て方において相当なトレーニングになったという点です。日本の大学でも卒業論文を書きますが、イギリスの大学院に入ると、日本の卒論レベルのエッセイと呼ばれる小論文を3週間に一度は提出させられます。厳しいのは、外国人だからという言い訳は通用せず、論文の内容が英語の書き物として意味をなさなければ当然減点されます。

    エッセイのテーマはもちろん他人の論文の感想文であってはならず、自ら発展させた新しいアイディアでなければいけませんでした。3週間に1個のペースで新しいアイディアなんて思いつかない!と思いながらも、さらにそのアイディアを論理的に説明して理論として論文にして提出しなければいけませんでした。

    日本の大学の4年間は遊びとしか思えないくらい、本当に大変な1年間の修士課程でしたが、今でも書き物をしたり、新しいアイディアを発展させたりする素晴らしい糧になっていると感じます。

    まとめ

    正直、大学院生としてイギリスにやってきたばかりのときは、海外に長期で暮らすのも初めてでしたし、英語も今ほど流暢ではなかったです。今同じコースをもう一度やるチャンスが与えられるなら、当時よりも資料も速く読めるだろうし、エッセイもうまくかけると思いますが、22歳の私が留学するという決意をしなかったら、今の私はないと思っています。ですから今から留学を目指してみようかなという人は、ぜひチャレンジしてみてください!