ほとんどの人がGoogleやYahooなどの検索エンジンで日常的に何らかの検索をしていると思います。でも英語でアカデミックな文献検索をしたり、レポートやジャーナリスティックな記事制作のためのリサーチをしたりする時、網羅的あるいは体系的な検索はできているでしょうか?
思いついた検索キーワードを検索エンジンにかけているだけでは、膨大な検索結果を全て読まなければいけなかったり、見落としている文献やページがでてきたりしますよね。私自身ランダムな検索で膨大な情報量を処理するために時間を無駄にするようなこともありました。
でも、検索テクニックを上手く使うことで、効率的な文献検索ができるようになります。留学などのために英語で大学の卒業論文の文献レビューを書く際にも、出版物のための記事を書くのにも大いに活用できるテクニックですので、ご存知ない方はぜひ使ってみてください!
英語の文献検索のやり方
フレーズ検索
フレーズ検索は、単語が組み合わされたフレーズの検索をしたい時に使います。「educational technology for science learning」といった検索をしたい時には「”〜”」の記号を使って、
“educational technology” “science learning”
と検索ワードを打ち込むことによって、最適化された検索結果を得ることができます。この検索では、「learning technology」のようなフレーズは除外されることになります。「“〜”」の〜の部分に入れるキーワードの順序が異なるからです。検索欄に入れた検索ワードと順序が異なる組み合わせのフレーズはヒットしないということになります。
トランケーション
トランケーションは、ある単語の複数系や活用系、派生語などをまとめて検索したいときに使います。例えば、 「learn」という語が入った検索をまとめて行いたい時には「*」の記号を使って、
learn*
と検索ワードを打ち込むことによって、この綴りの入った単語をまとめて検索することができます。「learn」が入った単語には、learning, learns, learner, learned, learningsなどがあります。よってこれらをまとめて検索することができるわけです。他にも、
educat*
としてトランケーションを使った検索を行うと、education, educating, educated, educateといった語をまとめて検索することができて便利です。
ワイルドカード
ワイルドカードは、アメリカ英語とイギリス英語で単語の綴りが微妙に異なる場合などに使います。例えば、「organisation」という語を検索ワードに入れたいとき、英語と米語でスペルが異なるために、2回検索しなければいけないと思うかもしれません。でも「?」の記号を使って、
organi?ation
とすると、organisationだけでなく、organizationというスペルのキーワードを含む検索結果も同時に得ることができます。もう一つ例を見ておきましょう。
licen?e
の場合も、ワイルドカードの「?」を使うことによって、licenceとlicenseの両方のスペルを検索ワードに入れ込んで、まとめて検索来ることができます。
ブーリアン
ブーリアンは、「AND(かつ)」「OR(あるいは)」「NOT(ではない)」というロジックを使って、検索結果を広げたり狭めたりするものです。例えば「AND」を使って、
“educational technology” AND “science learning”
とすると、「”〜”」で挟まれた2つのフレーズの両方が含まれた検索結果を得ることができます。
一方、
“educational technology” OR “science learning”
とすると、2つのフレーズのどちらかが含まれた検索結果を得ることができます。2つのフレーズが似たような意味合いのものの場合、「OR」というオペレーターを使うことによって、検索結果を広げることができます。
さらに、
“educational technology” NOT “science learning”
とすると、“educational technology”が含まれる検索結果のうち、”science learning”は含まれない検索結果を得ることができます。こちらも、より特化した検索結果を得るのに便利な方法です。
入れ子検索
入れ子検索は、英語ではNested Searchなどと呼ばれ、上記で紹介してきたテクニックを組み合わせ、「(〜)」や「{〜}」を使いながら、より特化した検索結果を得る方法です。以下が入れ子検索の例です。
(AR OR “augmented reality”) AND “science education”
「AR」というのは「augmented reality」の略ですので同義語です。よって、ブーリアンの「OR」を使うことによって2つのうちどちらかの言葉を含む検索結果を得ることができます。
さらに、この2つのフレーズどちらかに加えて、「science education」というフレーズを含む検索結果を得たい時には、もう一つのブーリアンオペレーターの「AND」を使って繋ぐことによって、より狭めた検索をかけることができます。
上記では括弧「(〜)」のみを使いましたが、さらに大括弧「{〜}」も使って、より特化した検索を行うこともできます。例えば、
{(AR OR “augmented reality”) NOT “virtual reality”} AND “science education”
とすることによって、上記の例から「virtual reality」というフレーズが入った検索結果を省くことができます。このように数式のように括弧を使いながらロジックを組み合わせて検索を行うことで、より的確な文献検索を行うことができるというわけです。
データベースを使った英語の文献検索
上記では英語の検索キーワードの入れ方や、より特化した文献検索のかけ方について見てきましたが、文献検索のやり方が使えるのは、Googleなどの一般的な検索エンジンだけではありません。専門分野ごとのデータベースにも使うことができます。
広範囲を網羅したデータベース
Google Scholarもデータベースの一つです。Google Scholarはかなり広範囲の文献がヒットするデータベースとして知られています。つまり、分野や出版言語についても広範囲にまたがっており、さらに出版物の種類も様々なものが網羅されています。
より特化したデータベース
一方で、PudMedもデータベースですが、こちらはアメリカの医学分野に特化したデータベースになりますので、Google Scholarよりも狭い範囲のリサーチをするのに適したデータベースということになります。
目的に合わせて、どのデータベースを使って文献検索をかけるのかを考えていくことになりますが、関連論文などが抜けないようにするためには、複数のデータベースを使う必要があります。一般には3〜5つほどのデータベースでサーチをかけることで、網羅的な検索を行うことができるとされています。
教育テクノロジーを専攻する筆者は、通常Web of Science、Scopus、IEEE Xploreの3つを検索するところから始めます。
文献検索を管理するソフトウェア
英語の文献検索結果を管理する便利なソフトウェアもあります。Publish or Perishは便利な無料ソフトの例の一つです。Google Scholarをはじめ、Crossref、OpenAlex、Scopusなど複数のデータベースの検索結果を整理し、引用数なども表示してくれると同時に、データとして保存する機能なども付いているので、システマティックな文献検索を行うのに有用です。
まとめ
ウェブ上の情報やジャーナル、論文などがデジタル化されている現在は、体型的な検索を用いたリサーチができることが、より信頼できる情報の収集には欠かせないと言えます。論文を書く際にも、「Systematic Literature Review」と呼ばれるプロセスが必要な場合もあります。
そんな時は、上記で紹介したような簡単なテクニックでより効果的な検索を行うことができるので、ぜひ活用してみてください!