発音矯正のために知っておきたい音の流れ
英語の発音はどうすればもっと英語らしく聞こえるのでしょうか?発音を矯正してネイティブのような流れで話すための鍵は、英語のリズムとイントネーションにあります。もちろん音節レベルで正しく発音することも重要ですが、それ以上にネイティブにより英語らしいと感じられるように英語を話すためには、文単位のリズムとイントネーションを意識することが必要です。
この記事では気をつけるべき英語のリズムとイントネーションのポイントについて解説していきます。
英語のリズムとイントネーション
英語の文やスピーチユニットと呼ばれる意味をなす一連の単語の塊の発音について考えるとき、私たちが意識すべきことは2つあります。一つはリズム、もう一つはイントネーションです。英語のリズムというのはどの単語を強く発音し、どの単語を弱く発音するかという強弱という意味で使われる言葉です。一方イントネーションは抑揚とも呼ばれますが、音程の上がり下がりのことです。歌を歌うときに音階が上がったり下がったりするように、人の発話にもまた音の高低があるのです。
私自身、日本人以外の外国人が英語を話すのを聞いているときに、リズムがイントネーションが英語らしくないと、個々の単語の発音としては聞き取れていても情報が頭に入って来にくいと感じることがあります。英語を使って情報を伝えようとするとき、リズムやイントネーションはそれくらい重要な役割を果たすものなのです。
英語のリズム(強弱)
コンテントワードとファンクションワードとは
英語のリズムについて学ぶ上で大切なコンセプトが、コンテントワード(内容語)とファンクションワード(機能語)です。その単語自体が明確な意味を持つ単語のことをコンテントワードと呼び、文法的な目的で使用される単語のことをファンクションワードと呼びます。この2つについては以下のリンクの記事でも詳しく書いているので合わせてご覧ください。
コンテントワードとファンクションワードのコントラスト
英語の発音にはコンテントワードとファンクションワードに明確な対比をつけるという特徴があります。より明確な情報を伝達する単語であるコンテントワードをより強く、文法的な役割で使われるファンクションワードはより弱く発音されるのです。例えば、次の例文を見てみましょう。
a cup of tea
このフレーズの4つの単語をコンテントワードとファンクションワードに仕分けしてみましょう。
- コンテントワードcup、tea
- ファンクションワードa、of
よってこのフレーズでは、ファンクション・ワードである「a」と「of」に比べて、コンテント・ワードである「cup」と「tea」の方がより強く、はっきり発音されるということになります。
トニックシラブルとは
コンテントワードとファンクションワードの対比に加えて、もう一つ意識してもらいたいのがトニックシラブルと呼ばれるものです。これは文あるいはスピーチユニットにおいて、もっとも強く発音される単語のことを指します。通常、文やスピーチユニットの一番最後に登場するコンテントワードがトニックシラブルになります。例えば、
Can I have a cup of tea?
という文においては、一番最後に登場するコンテントワードは「tea」ですね。よってこの単語がトニックシラブルになります。
話し手の意図でトニックシラブルが変わる
ただし文脈や話し手の意図によって、他の語がトニックシラブルになることもあります。上記の例文について考えてみるとよくわかります。もしあなたが他の誰かではなく、「自分」がお茶を飲みたいのだということを明確に伝えたいとします。するとトニックシラブルは「tea」ではなく「I」に代わります。それによってこの文のリズムも「I」を強調するものに変わります。
Can I have a cup of tea?
よってこの文の単語の中でもっとも強く発音されるのは「I」、それに続いて強く発音されるのはコンテントワードである「have」「cup」「tea」、弱く発音されるのはファンクションワードである「can」「a」「of」ということになります。
英語のイントネーション(高低)
抑揚の基本3パターン
英語のイントネーションには、3つの抑揚の基本パターンが存在します。まずはその3つをご覧いただきましょう。
- ↘︎ = 下がる
- ↘︎↗︎ = 下がって上がる
- ↗︎ = 上がる
ここで矢印は音程の上がり下がりを示しています。1では高い音程から始まりだんだんと下がってきます。2では高い音程から始まった音が一度下り、再び上がっています。3では低い音程から始まり徐々に上がっていきます。一つのスピーチユニットでも、この3つのイントネーションパターンにあてはめて3つの異なるイントネーションで発音することができるのです。
トニックシラブルが果たす役割
トニックシラブルにはスピーチユニットの中でもっとも強く発音される単語というお話しをしましたが、もう一つ重要な役割を担っています。トニック・シラブルは英語のスピーチにおけるイントネーションパターンの始まりを示すものでもあるのです。イントネーションパターンの終わりはスピーチユニットの終わり、あるいは文末です。
英文ではトニック・シラブルが現れるまで抑揚はなく、平坦なトーンで進みます。トニックシラブルが現れたところから、先に1〜3のイントネーションパターンが入ってくることになります。次の例文を見てみましょう。
Are you going to the cinema?
この例文のトニックシラブルはどれでしょうか?一般的に、文の一番最後のコンテントワードがトニックシラブルになるというルールがあったので、通常の場合「cinema」がトニックシラブルになります。つまり「cinema」の前までは平坦なトーンで進み、抑揚が出てくるのは「cinema」という単語においてのみということになります。
Are you going to the cinema?
– – x – – ↗︎
ここでの例では2つ目のイントネーションパターンを使いましたが、話し手の意図によって1〜3どのパターンでも可能です。
3つのパターンが表すニュアンスの違い
3つのイントネーションパターンは話し手の意図や感情を豊かに伝えるものです。上記の例文のようなイエス・ノー・クエスチョンの場合、それぞれ次のようなニュアンスを伝える表現になります。
Are you going to the cinema?(深刻)
– – x – – ↘︎
Are you going to the cinema?(フレンドリー)
– – x – – ↘︎↗︎
Are you going to the cinema?(驚き)
– – x – – ↗︎
3つとも正しい英語のイントネーションです。伝えようとしているニュアンスや感情によって適切なものを選ぶ、そしてリスニングの際には相手のニュアンスや感情を聞き取れるようになるといいですね。
トニックシラブルが変わればイントネーションも変わる
今度はトニックシラブルが変わる場合について考えてみましょう。例えば、文脈として「誰が映画館に行くのか」ということが話題の中心になったとします。するとトニック・シラブルは「cinema」ではなく「you」になります。それに伴ってイントネーションパターンが始まる単語が変わります。
Are you going to the cinema?
– ↘︎ _ _ _ ↗︎
つまり、イントネーションパターンは「you」から始まり、文末でまで続くことになります。トニックシラブルが変わっても、話し手の意図やニュアンスによって3つのイントネーションパターンを使うことが可能です。
まとめ
コンテントワードとファンクションワードの対比、トニックシラブルの見つけ方、トニックシラブルの変化によるイントネーションの変化についてはご理解いただけたでしょうか?さらに詳しく英語のリズムとイントネーションについて知りたいという方は是非、英語の発音矯正コースを受講ください。英語の発音をマスターする完全講義です!