「コーディネーター」という職業をご存知でしょうか?コーディネーターという業種は、海外を拠点に英語を使って世界の現場を組織化する、現地コーディネーターや海外コーディネーターとも呼ばれるお仕事です。
ツアーコーディネーターやインテリアコーディネーターなどという職業にもコーディネーターという言葉が入っているように、コーディネーターは何かをコーディネートする、つまりプロジェクトを組織化したり、関係者の間を取り持ったり、また交渉したりするのが仕事です。
現地コーディネーターや海外コーディネーターと呼ばれる仕事は、日本国外で企業が何らかのビジネス活動をするときに、英語や現地の言語を使って日本人と現地のスタッフや現地のシステムの仲介をし、円滑にビジネスを進める支援をする仕事なのです。
コーディネーターの仕事
コーディネーターの仕事は、英語やその他の外国語を使うのが基本ですが、通訳とは少し異なる職業です。通訳の目的は、ある人がある言語で発した言葉をできる限り忠実にもう一つの言語に変換することですが、コーディネーターの究極の目的は、ビジネスを円滑に遂行させることにあります。
よってコーディネーターは、もちろん日本語、英語、さらにはその他の言語を使い、時には通訳もしながら仕事を行うのですが、プロジェクトに関わる人々の文化的背景や慣習などを考慮しながら、ビジネスコミュニケーションに積極的に介入していきます。
また、海外の現場でプロジェクトを包括的に監督していく仕事なので、ビジネスに直接関わる部分だけでなく、ホテルや車両、レストランなどの手配、その他のトラブル対応といった現地滞在中の生活に関わる部分のケアもしていくお仕事です。
コーディネーターを使う機会
では、コーディネーターを使うと便利なのは一体どんな時でしょう?
海外視察
日本の自治体や企業の方が、海外での取り組みなどを視察されたい時にコーディネーターを使うと便利です。視察に適した組織を探すところから、アポ取り交渉、現場でのアテンド、通訳までを包括的にコーディネーターがこなします。
国際会議への参加
国際会議への参加の際も、コーディネーターがいると便利です。英語に自信がないのであれば、プレゼンやパネルのための登壇のサポートもお願いすることができます。さらにコーディネーターはコミュニケーションのプロですから、業界関係者とのネットワーキングのサポートも行います。
海外取材
放送局や新聞、デジタル出版物、社内広報のための取材もコーディネーターにお願いすると便利です。目的に応じた取材先の提案から、取材交渉、インタビュー、通訳・翻訳まで総合的なサポートを受けることができます。
国際見本市への出典
自社商品を世界に知ってもらいたいという企業が、国際見本市に出典する際もコーディネーターの使うことができます。現地施工業者との仲介から、現場での準備作業、見本市にきたお客様への対応、ステージ演出やMCなど、コーディネーターがお手伝いします。
企業の海外進出・海外コラボ
海外の企業と取引やコラボレーションしたい場合には、通訳よりもコーディネーターを使うことをおすすめします。海外のマーケットリサーチから、現地業者との仲介、商談での通訳まで総合的な支援を受けることができます。

コーディネーターの選び方
各国でフリーランスや自営業者として活動しているコーディネーターは、基本的にプロジェクトごとの契約で雇うことになります。以下コーディネーター選びの際のポイントについてまとめてみたいと思います。
言語
まずは、あなたが行おうとしているビジネスにおいて、どの言語が必要となるのかを明確にする必要があります。複数の国の人を巻き込んだ国際プロジェクトなのであれば、共通語としての英語を話せる人を雇うのが良いでしょう。
もし、ある特定の国に聞き取り調査に行くというのであれば、その国を拠点としてその国の言語を話す現地コーディネーターを雇うべきです。その際に一点注意していただきたいのは、例えば、スイスやベルギーなど一つの国で複数の言語が使われている国で仕事を行う場合には、コーディネーターの対応言語を確認するようにしてください。
経験値
言語と同じくらい重要なのは、コーディネーターの経験値です。対象国の国民性を理解し、現地に最も適した方法でビジネスを進めるお手伝いをするのがコーディネーターのお仕事ですから、実際に仕事を始めてみるとあなたもコーディネーターの経験値に助けられることが多いのを感じるはずです。
私自身の経験からの例で言えば、同じ西ヨーロッパの先進国でも、イギリスとドイツでは仕事の進め方が全く異なります。こちらはそれに合わせた言動とることで、ビジネスを効果的に進めることができるのです。コーディネーターの勘は100%とは言いませんが8割5部以上の確率で当たります!
学術的な背景
コーディネーターとして仕事をしている海外在住者には様々なタイプの人がいます。幼少期から現地に住んでいる人、学生としてやってきた人、国際結婚や旦那様の駐在でやってきた人、遊学しているうちに何年も経った人などが挙げられます。
私は大学院留学をきっかけにイギリスにやってきた者ですが、一次資料から情報を取得し、論理だった議論をするという、英国の大学で学んだことが仕事をする上でも基礎になっていると強く感じます。プロジェクトのテーマなどにもよりますが、コーディネーターのアカデミックな背景も考慮すべき点の一つです。
専門分野
担当のコーディネーターがあなたが行おうとしているビジネスの業界に通じているかという専門性も、コーディネーター選びの基準の一つになります。関連するコンタクトや、有用な情報を持っていることがあるためです。
上手にコーディネーターを使う方法
ビジネスの目的を的確に伝える
プロジェクトごとに雇われるコーディネーターにまず伝えるべきなのは、あなたが達成しようとしているビジネスの目的です。現地で仕事をするという段階になると、コーディネーターはあなたの右腕となってビジネスのお手伝いをしますが、目的によってそのアプローチは様々です。まず目的を明確に掲げておくことで、コーディネーターは仕事がしやすくなります。
背景知識を共有する
現地のビジネスコミュニケーションのエキスパートとはいえ、コーディネーターはあなたのビジネスのことを把握しているわけではありません。ビジネスサポートをするために、背景知識や文脈がわかっているというのは非常に大切なことです。共有しておくと有益だと思うことは、簡潔にコーディネーターに伝えるようにしましょう。
仕事の進め方について希望を伝える
コーディネーターとの仕事の仕方は人それぞれです。経験のあるコーディネーターなら、相手の希望に沿った仕事の進め方を知っています。ホテルや車両の手配から些細な会話の通訳まで手厚くサポートを受けたい人もいれば、できる限りは自分で進めて困ったときだけ助けて欲しいという人もいます。コーディネーターからどんな支援を受けたいのかを伝えると、希望に沿ったサービスを受けることができます。
まとめ
コーディネーターのお仕事について、ご理解いただけましたでしょうか?あなたのプロジェクトにぴったりのコーディネーターを選んで上手に使い、プロジェクトを円滑に、そして効果的に進められることを祈っています。
私自身もロンドンを拠点としてヨーロッパの国際プロジェクトで働くコーディネーターです。ヨーロッパより何かお手伝いできることがありましたら、いつでもお気軽にご連絡くださいね。