妊娠中に新型コロナワクチンを接種すべき?

妊娠中のコロナウイルスワクチン

2021年に入っても世界的なコロナウィルスの感染が収束しない中で、妊娠中にコロナウィルスワクチンを接種すべきかどうかという問題は、多くの妊婦にとっての大きな悩みとなっているのではないでしょうか?

私は2020年12月にワクチン接種が開始され、6月1日現在すでに4千万人近くが1回目の接種を受けたイギリスに住んでいます。2月に妊娠が判明して以来、妊娠中のワクチン接種は他人事ではない問題となりました。

そして6月1日、妊娠16週でワクチンを実際に接種しました。

この記事では、妊婦でありジャーナリストである私自身が、最終的にワクチン接種を受けるまでに考慮した医療専門家からのアドバイスと、政界や学術界からの一次資料をご紹介しながら、妊娠中のコロナワクチン接種について議論していきたいと思います。

変化する妊婦の新型コロナワクチン接種に関する英国政府ガイドライン

2月に妊娠がわかった当初、コロナウィルスワクチンの接種はまだ私にとってそれほど深刻な問題ではありませんでした。多くの国が行っているように、イギリスもまた医療関係者、臨床的に脆弱な人、そして高齢者を優先的にワクチン接種を行っているため、30代の健康な私のところにワクチンが回ってくるのは、まだ先のことだと思われたからです。

3月:妊婦の接種の必要はない

とはいえ、順風満帆に進むイギリスのワクチン接種プログラムニュースが日々メディアを騒がせる中で、4月初旬の検診の際には、私も担当の助産婦に妊娠中のワクチン接種へのアドバイスを求めました。

当時のイギリスのワクチン接種に関する政府のガイドラインは、妊婦のワクチン接種の安全性を保証できるだけの十分なデータがないため、コロナウィルスに晒される機会があまりない人、あるいは他の疾患を抱えていない人は接種を推奨しない、というものでした。つまり、医療機関や学校など、ウィルスを持っている可能性のある人に多く接する仕事をしているなどの場合を除いては、接種する必要はないというアドバイスです。

助産婦からのアドバイスもこの政府ガイドラインの通り、上記のようなキーワーカーの職種に該当しない私のライフスタイルを考慮すると、ワクチン接種は必要ないというのが結論でした。よって私自身、妊娠中にはコロナワクチンは接種しないという心算でいました。

4月:妊婦も同年齢の人と同様に接種すべき

ところがその後、イギリス政府のガイドラインが変わりました。これまで推奨されていなかった妊婦への接種が、妊婦も同年齢の他の人たちと同じタイミングでワクチンが提供されるべきである、という方針に変更されたのです。

それから数週間後、ようやく安定期を迎えようという5月末。イギリスの医療制度NHSから、私の元にもワクチン接種招待のメッセージが届きました。30代の人たちもワクチンの予約ができますよという連絡です。

この時点でのイギリスにおける一般的なワクチンに対する大きな懸念は、アストラゼネカ製のワクチンがまれに血栓を引き起こすため、接種後なんらかの副作用が続く場合には注意が必要というものでした。それでも、もし妊娠していなかったら、すぐにでも予約をしたと思います。しかし妊婦である私は、すぐに接種予約には踏み切れませんでした。

なぜ妊婦もコロナワクチンを接種すべきなのか?

アメリカで取られた9万人の妊婦のデータ

政府のガイドラインが変更された背景には、アメリカで取られた9万人の妊婦のデータにおいて、ワクチン接種の危険性が指摘されなかったことがあります。この統計に含まれる妊婦のほとんどは、ファイザーとモデルナ製のワクチンを接種しています。これを受けて、イギリス政府のガイドラインでも、妊婦はファイザーあるいはモデルナ製のワクチンの接種が推奨されることになりました。

イギリスで認可されているアストラゼネカ製のワクチンについても安全性の調査が予定されていますが、現段階では危険性も指摘されていないが、安全性も確認されていないという扱いになっています。

政府や王立産婦人科科学会の医療機関のガイドラインをはじめ、さまざまなメディアでも安全性の根拠とされたこのアメリカの9万人の妊婦のデータは、アメリカ疾病予防管理センターが作った「V-safe COVID-19 Vaccine Pregnancy Registry」と呼ばれるシステムによって取られたもので、妊娠中に実際にワクチンを受けた人たちからの経過の聞き取りなどから安全性を把握しようという試みです。

このシステムによると5月24日までに、アメリカでは11万8千人の妊婦がコロナウィルスのワクチンを受けたとされています。

他の不活性ワクチン接種の安全性

一般的に妊娠中に受けるべきでないとされているワクチンは、BCGや麻疹、黄熱病などのいわゆる生ワクチンと呼ばれているものです。その一方で、インフルエンザや百日咳などの不活性ワクチンは、妊娠中に下がる免疫で症状が悪化したり、ウィルスが胎児に影響を与えたりするのを防ぐ目的で、妊娠中の接種を推奨されています。

コロナウィルスのワクチンは生ワクチンではありません。よって、実際のデータはまだ少ないものの、医学の理論的には妊娠中の安全性がそれほど懸念される種類のものではないということになります。

ただ、インフルエンザや百日咳のワクチンも器官形成期は避け、安定期に入ってから受けるよう指示されるのと同様に、ワクチンの安全性という観点のみから言えばあまり早い段階での接種は進められていないようです。

胎児にも受け継がれる免疫

ハーバード大学の研究によると、妊娠中にワクチンを接種した母親から、胎盤を通して胎児に免疫が受け継がれることがわかっています。これは妊婦だけではなく、授乳中の母親からも母乳を通して免疫が受け継がれると言われています。

妊娠中や授乳中のワクチン接種で胎児や乳児に危害を加えてしまわないかと不安に思うところもありますが、逆に赤ちゃんを守ってあげることにつながっているという研究結果も出ているのです。この調査の対象となったのも、ファイザーとモデルナのワクチンを接種した母親となっています。

妊娠後期におけるコロナ感染の危険

アメリカやイギリスで妊娠中のコロナウィルスワクチンの接種が推奨される理由の一つに、妊娠後期でコロナウィルスに感染した場合、妊娠していない人に比べて症状が悪化する、また早産などの確率が高まるという報告があります。母体が健康であれば、全体的な感染後の症状悪化のリスクはそれほどでないとされているにしても、妊娠中に起こりうる糖尿病など他の因子を考慮して、ワクチン接種が勧められていると言えます。

現在他の同年齢の人と同じタイミングで提供されているコロナウィルスワクチンですが、スコットランドの医療関係者の中には妊婦を優先的に接種させるべきという声もあるようです。

懸念のインド株(デルタ株)

さらに、世界的なウィルスの感染拡大は、ワクチンプログラムが成功を収めているイギリスでも完全に収束したというわけではありません。イギリスではインドで発見された通称インド株(デルタ株)が一部の地域で広がりを見せており、これを第三波の始まりとみる科学者の声も聞かれています。

これから夏にかけて、コロナウィルスをめぐる様々な規制が完全に解除される予定になっていて、その後また秋冬の到来とともにインフルエンザシーズンがやってくることを考えると、ワクチンを受けていない状態では100%安心して過ごすことができないというのが現実かもしれません。

メンタルヘルスの問題

2020年春に始まったパンデミックはすでに1年以上に渡って続いています。度重なる厳しいロックダウン生活の中で、友達にに自由にあったり、安心して外を出歩くこともできない、なんとも精神的に窮屈な状態を続けてきました。さらにつわりの時期の3ヶ月を乗り越えて、やっと安定期に入った今、後期に入る前に少し精神的にもリフレッシュしておきたいというのが正直な思いです。

でもワクチンを接種していない状態では、カフェで友達とのんびりすることすらできません。ワクチン接種を終えた人たちはマスクもせずに歩き回っているのがイギリスです。そんな環境で気持ちの上でも自由になるためには、やはりワクチンは必要だと個人的には感じました。

なぜ妊婦はコロナワクチンを接種すべきでないのか?

初期・中期接種での安全性は確認されていない

上記のようなワクチン接種をするのに十分な理由がある一方で、私が非常に悩んだのはアメリカで取られた9万人の妊婦のデータについての詳細です。政府や医療機関のガイドラインでも、各メディアの報道でも、妊婦のワクチン接種推奨の強い根拠となっているのはこのデータです。

でも、このデータについて考えていただきたいのは、欧米でのコロナワクチン接種が始まったのが2020年12月だということ。妊娠から出産まで約9ヶ月を要することを考えると、妊娠初期や中期に受けた妊婦の本当の影響を知ることのできる事例はまだあまりないのです。

実際、妊婦へのワクチンの影響の研究調査を行っているアメリカの研究者の論文を見ても、すでに妊娠が完結している、つまり無事に出産したか、流産して妊娠を終えたかというデータを撮っていますが、出産している人のデータはとても数が少ないです。

実際このような研究データについて書かれた記事ですら、安全と言い切るにはデータが足りないという文言が並びます。この中で、現存するデータから本当に安全だと判断できるか、それはまだ誰にも断言することができないということなのです。

判断は妊婦次第、責任も妊婦自身

現在安全性を確実に保証するデータはない

残念ながら、2021年6月の今の時点で、妊婦へのコロナワクチン接種の安全性を100%保証してくれるようなデータや研究調査結果は出ていません。イギリスやアメリカの政府ガイドラインの書き方を見ても、妊婦へのワクチン接種は、明確に推奨も抑止もされておらず、個人の選択であることが明確に読み取れます。

医療従事者に判断を仰いでみても、彼らが参考にすることのできるデータや資料も限られているため、もらうことのできるアドバイスはこの記事で網羅しているのと同じようなことばかりです。

つまり結局のところ、妊婦がコロナウィルスのワクチン接種をすべきかどうかということの判断も、その選択によって生じる結果に対する責任も、妊婦自身にあるということになります。大切な赤ちゃんを守りたいと切実に願う妊婦の私たちにとっては、なんとも酷な事実ですね・・・。

それでも私は接種を選んだ

悩みに悩んだ挙句、私はワクチン接種をすることを選びました。ただ、妊娠初期での接種は避け、安定期に入ってからのタイミングを選びました。というのも、健康な30代である私の年齢にワクチンが回ってくる頃には、すでに妊娠中期に入ろうという頃でした。また、胎児の器官形成の大事な時期である最初の12週間は避けたかったこと、さらに悪阻が辛い時期に副作用で風邪のような症状が予想されるワクチンを打つのも辛いだろうという思いもありました。

ただ、2回の接種が必要とされるコロナワクチンですから、後期に入るまでに2回の接種が完了するためには、1回目の接種をあまり先延ばしにすることもできません。イギリスでは2回の接種の間を12週間としているため、その期間を考慮した接種時期というのもワクチン接種のタイミングを選ぶ際に考慮しました。これは後期でのコロナウィルスへの感染が、重症化につながる可能性があるという指摘を受けての決断です。

王立園芸協会ホールにてコロナワクチン接種の直後

私もまだ出産を迎えていないため、ワクチン接種したけど大丈夫でしたという朗報をお届けすることはできません。ただただ健康な子供が産まれてくれることを祈るばかりです。

それでも、接種から24時間以上が経過しましたが、とりあえずひどい副反応もなく過ごせています。接種した部分は、6時間くらい経った頃から腕も上がらないほどの痛みが始まりましたが、お腹に違和感を感じるようなことは起こっていません。

私自身が参考にした今出回っている限りの情報が、同じように悩む妊婦の皆さんのワクチン接種に対する選択の参考になればと思ってこの記事を書きました。不安なコロナ時代の妊娠ですが、皆さんが健やかに過ごされることを心よりお祈りしています。一緒に妊婦生活を頑張りましょうね。よかったらインスタでも繋がってください!

@yuko.tv